「警視庁犯罪被害者支援課」というシリーズの作品…これは事件の解決を目指して活動する捜査員達が主人公ということではない。事件の被害者、被害者が亡くなってしまった場合の遺族に関する対応を担う、“支援課”に勤務する警察官達または警察職員達が主人公ということになる。少し異色なシリーズなのだが、捜査員達が色々なことを積み上げて行くという展開とは「やや違う視点」が面白い。
↓その「警視庁犯罪被害者支援課」というシリーズの最新作だ!
↑休日に入手し、直ぐに読み始め、夕方まで読んで「続き」が気になり、夜少し遅くまでに読了に至ってしまった…それだけ夢中にさせてくれるモノが在った…
本作、或いはシリーズ各作品の中心視点人物は「警視庁犯罪被害者支援課」に勤務する男性の村野である。村野は捜査一課の刑事だったが、事故に巻き込まれて負傷してしまったという経過が在り、怪我から復帰する際に走り回る、長い時間歩くことが多少辛いということになってしまったことも在り、思うところも在って希望して犯罪被害者支援課の仕事に携わるようになったという人物だ。何時の間にか、この仕事も少し長くなっている。
本作の初めの方…村野は誘拐事件が発生したことを聞き付けた。
近年、営利目的誘拐というような事件は発生が稀である。そういう事件に驚くが、誘拐されたのは10歳の小学生の女児で、“子役”の芸能活動もしていてなかなかに人気が高いということだった。村野はテレビドラマ等に疎く、聞いても直ぐに女児のことが判らなかったが、女児の家族事情を聞き「引っ掛かり」を感じた…
誘拐された女児は母親と、母親の両親である祖父母と暮らしているという。父親は離婚して疎遠になっているということだが、その父親というのが、村野が捜査一課に異動となる少し前に所轄署の捜査員であった頃に会ったことが在る人物であったのだ…
その誘拐事件に纏わる話しの他方、支援課へ所轄署からの協力要請が入る。「頑なに過ぎる遺族」への対応に協力願うということであった。
ワンルームマンションという設えの建物で火災が発生し、そこの部屋の1つに住んでいた60歳代の女性が死亡してしまった。この60歳代の女性は夫と離婚はしていないが、事情が在って1人で当該のワンルームマンションで暮らしていた。遺体の引取に関して、直ぐに連絡が取れる夫に申し入れようとするが、夫は「関係無い!!」と警察との接触を拒むというのだ。対応しようとしていた所轄の担当者が弱り果て、村野は手伝いに出向く。
誘拐事件と、女性の火災による不運な死と…これらの件の顛末が本作の物語である…
絆が深いような、脆いような、そういう家族が本作には登場する。村野はそうしたモノと向き合うことになる。そして村野自身に関しても、何となく動きが生じるのが本作だ…
↓結果的に過去の6作品は全て読んでいた…そしてこの新作である…
第1作>>『壊れる心』
第2作>>『邪心』
第3作>>『二度泣いた少女』
第4作>>『身代わりの空』
第5作>>『影の守護者』
第6作>>『不信の鎖』
村野の動きがメインだが、周辺の人達も何作も続いたシリーズの中で色々と在る…
また、最近はこの作者の“得意技”の一つになっている感も在るが、他のシリーズ作品に登場した経過が在る作中人物達が「さり気なく出演」という場面も在る。一寸だけ面白い…
このシリーズは、他のシリーズ以上に「人生?」、「家族?」、「生き様?」、「社会?」というようなことを問うような色合いが濃いと思う。村野の活動が、結果論として進行する事件の意外な核心を探り当ててしまうような展開も愉しいのだが、「人生を問う?」というような色彩が濃いということが、このシリーズの好さだと思っている…本作では「家族のような身近な人達との絆」というようなことを強く考えさせられた…




















