『フィフティ・シェイズ・フリード』

↓いよいよ“三部作”の三作目である!!



フィフティ・シェイズ・フリード (上)(リヴィエラ)





フィフティ・シェイズ・フリード (下)(リヴィエラ)

↑「尽きぬ興味…」という中で、一気に読了に至ってしまった…

本作も第一作、第二作同様、アナことアナスタシア・スティールとクリスチャン・グレイの物語で、本編の99%以上がアナの目線、殆ど一人称で綴られて展開する。

三作全編を通じて…「現代のシンデレラ・ストーリー」ということになるかもしれない…或いは、「若き王に愛された平民の娘が、若き王を愛し、新たなロイヤルファミリーを築くに至るまで」というような“御伽噺”かもしれない…いずれにしても、第一作を紐解き始めると、一寸停まらなくなってしまう…

本作では、アナとクリスチャン・グレイは結婚している…本作の物語は、新婚旅行の辺りから起こっている…

新しい家庭の中で、2人の関係を確立しようとしている。起業して若くして大成功を収め、大富豪であるクリスチャン・グレイと、経済的には極普通な家庭の出であるアナとは「著しい価値観の違い」を抱えている。更に、クリスチャン・グレイはその生い立ちと心の傷に起因するらしい、性格的弱点のようなものを抱えてもいる…

こんな二人が、新たな家庭を二人で築いていくということ、互いに愛し愛されていることを確かめるように新婚旅行で南仏に滞在していた時、クリスチャン・グレイは会社の社屋で小火火騒ぎが在ったという報せを受けた。直ちに戻らなければならない程に深刻な事態には至らなかったが、身辺で不審な出来事が続いていた中であり、大変に不安だった…

本作は、こうしたサスペンス要素が入り込み、グレイ夫妻の周囲で発生する“事件”にアナやクリスチャンが立ち向かいながらも、アナとクリスチャンは、殊にクリスチャンがその生い立ちと心の傷に起因するらしいモノから次第に解き放たれていくという物語だ。

本作にも、シリーズ全編に盛り込まれている官能的な描写は見受けられるが、本作は「ロマンチックな事件モノ」というような雰囲気も在る。アナは、実際非常に危険なことをする羽目になってしまう…

本作を読んでいて思うのは…フィクションである小説の劇中人物であるクリスチャン・グレイ程に劇的ではなくとも、「自身を肯定的に捉え難い傾向」というモノが誰にでもあって、或いはそれが様々な行動を規定している側面が在るということである…何処かにそういう想いが在って、クリスチャン・グレイがアナとの関係の中で、そうした側面にどういうように折り合いを付けていくのか…それが「停まらなくなった」要因かもしれない。因みに…“フリード”とは「解放された」というような意味である…

“ネタばれ”になるが…巻末に収録の、「クリスチャン・グレイ目線のアナとの出会い」という小編が好い…

『フィフティ・シェイズ・ダーカー』

↓読了して少々気に入った作品が“シリーズ”ということになれば…既に登場している場合には、とにかくも“続篇”を入手して紐解く…



フィフティ・シェイズ・ダーカー 上(上)(リヴィエラ)





フィフティ・シェイズ・ダーカー 下(下)(リヴィエラ)

↑なかなかに愉しく、停まらなくなってしまい、愉しく読了した…

本作もアナことアナスタシア・スティールとクリスチャン・グレイの物語である。前作に引き続き、物語の99%はアナの目線、一人称で語られる。或いは…作中の大学卒業間近、その少し後から年月を重ねた或る日、彼女と何かで親しくなった人が、彼女の回想譚に付き合っているような…そんな気分にならないでもない…

アナは無事に出版社に就職したが、失われかけようとしていたクリスチャン・グレイとの関係が自分の中で余りにも大きくなっていることに気付き、泣き暮らすような状況となってしまう…クリスチャン・グレイも同様だった…

アナの友人であるホセの写真展オープニングに出掛ける約束を口実に、アナとクリスチャン・グレイとは再会し、“復縁”する。

“復縁”とは言え、2人の間で話し合われていたクリスチャン・グレイによる「オファー」の話しは曖昧になり、互いが欠けることに耐えられなくなっていることを確認する日々となった。

クリスチャン・グレイは、現在では裕福な家庭の養子で、自らも大成功した起業家であるが、不幸極まりない生い立ちを負っていた。それ故に持つ「心の傷」のようなものが覗いている。アナはそれをも受け止めようとする。

こうした中、クリスチャン・グレイと過去に関係していた女性が出現してみたり、アナが勤め始めた出版社で、パワハラ、セクハラ的な振る舞いに及ぶ人物が現れたりと、様々な出来事が展開する…

多少“ネタばれ”的になって恐縮だが…シリーズに冠せられている「フィフティ・シェイズ」という表現が気になる…

「フィフティ・シェイズ」には「五十通りの」という訳語が充てられている。「非常に多様な」という含意なのだと思う。

作中で、クリスチャン・グレイは「五十通りに歪んだ」と生い立ちに起因する様々な“傷”を負っていることを暗示する。そうしたことから、何度かアナが彼を「フィフティ」と表現することが在る…

第1作の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』だが、これは“グレイ”に「クリスチャンの姓」と「灰色」を掛けて、「灰色、或いはグレイの非常な多様さ」というような意味、それに出逢うアナは「どうするだろう?どうなるだろう?」という意味なのだと思うようになった。

そして第2作の『フィフティ・シェイズ・ダーカー』だが、これは「より暗さを加えた、非常に多様な出来事の物語」ということであろう…

いずれにしても…一寸嵌る物語である…

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』

「翻訳の小説」というモノだが、「余り好きになれない作品」も多々在る他方、読み始めると「停まらなくなる!」という作品も多々在る。「翻訳が登場」というのは、「原語版が出ている国で好評を博している」ということ、更に「各国語版が登場して、各国で話題になっている」ということの“証明”のようなものかもしれない。だからと言って「好きになれない」可能性からは免れ得ないとは思うのだが、概して翻訳の小説は「評価が一定程度高いだけに面白い」という場合が多いと思う。

↓『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』は、原語は英語だが、米国や英国でトップセラーになった他、翻訳版が各国で登場し、各国で話題になっているシリーズの第一作なのだそうだ…



フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 上





フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ 下

↑「大ベストセラーで近く映画も…」と聞き付け、入手して読み始めたのだが、何か「嵌って」しまい、「それからどうした?どうする?」とどんどん読み進めてしまった…

基本的には…本作は“メロドラマ”というような物語だ。女性読者の支持が高いらしい…が、男性読者である私も一寸嵌った…本作は主に主人公の女性の目線で綴られている物語である…

アナことアナスタシア・スティールは、卒業を間近に控えた大学生である。試験等も行われている期間にも拘らず、アナは車を飛ばして出掛けていた。ルームメイトでもある親友のケイトから大切な用事を頼まれたのだ。

学生新聞の編集長としても活躍中でジャーナリスト志望のケイトは、ワシントン州ではなかなかに有名な若き実業家へのインタビューの約束を取り付けていた。若き実業家クリスチャン・グレイは、間もなく迎える卒業式で学位授与者の役目も頼まれていて、大学にも多額の寄付をしているという人物である。ケイトは何ヶ月間もクリスチャン・グレイの会社と連絡を取り続け、漸く約束を取り付けたが、肝心のインタビューの日に風邪でダウンしてしまったのだ。

何としてもクリスチャン・グレイの記事を学生新聞に書きたいケイトは、アナに“代役”を頼んだ。ICレコーダーとインタビューの質問リストを持たされ、アナはシアトルに在るクリスチャン・グレイの会社へ向かった。会社に着いてみて、風邪で動けなくなってパニックに陥ったケイトに、訳も解らずに“代役”として送り込まれてしまったことに思い至り、アナは焦る…

アナはクリスチャン・グレイに会うことが出来た。そして魅せられた。大変な成功を収めた実業家でありながら、未だ若く、不思議な魅力を湛えた素晴らしい美青年だった。が、アナは「住む世界が違う」としか思えないクリスチャン・グレイ―経済的には普通な家庭の出であるアナに対し、クリスチャン・グレイは想像し難い程の大金持ちである…―に会うことなど、二度とも無いであろうと思っていた。

何とか済ませたインタビューの代役の数日後、アナがアルバイト先のホームセンターで普段のように仕事をしていると、驚いたことに「二度と会うことも…」と思っていたクリスチャン・グレイが買物に現れたのだ。

これ以降、クリスチャン・グレイは頻繁にアナと接触することになる。そしてアナはクリスチャン・グレイに強く惹かれていることに思い至る。そしてクリスチャン・グレイは、アナに「とあるオファー」をする…

アナとクリスチャン・グレイがどうして行くのか?どうなって行くのか?というのが物語の軸である。クリスチャン・グレイの「オファー」とはどのようなものか?それを受けるアナはどう考えるか?アナが見出そうとするクリスチャン・グレイが秘めているものとは?

という具合に「読ませどころ満載」で、2人の物語が進むのである。これは「嵌る」ことを免れ悪い…

本作の物語はワシントン州のバンクーバーという街、シアトル、更にオレゴン州ポートランド等で展開している。本作を読んでいる途中に思わず調べてしまったのだが…“バンクーバー”は探検家の名前に因むもので、より広く知られているカナダの街よりも古い歴史を有しているそうだ。そして州境を跨いだポートランドの“近郊”とか“大都市圏”の一画を成している。そういう訳でポートランドが出て来る。そのポートランドとシアトルとは250km程度離れている。物語の冒頭で、アナは早朝にバンクーバーからシアトルに車を飛ばすことになった…そしてポートランド・シアトル間については、劇中に「ヘリコプターで移動」という場面も登場している。

本作を読んでいると…「“英語”ってこういうものだな…」と思えることが在った。例えば、“アナ”、“アナスタシア”、“ミス・スティール”とか、“ミスター・グレイ”、“クリスチャン”というような「“呼び方”の違いに滲む“ニュアンス”の変化」が多用されているように見えた。どんな言語の小説にも、多かれ少なかれ見受けられる事なのだが、本作はアナとクリスチャン・グレイの「“関係性”の進展」が物語の軸であるだけに、気付く程にこうした事が目立つのであろう。

或いは本作はクリスチャン・グレイの「オファー」に関連する描写等が話題になり易いのかもしれない。しかし本作は、寧ろ地味な、純朴な女子学生が、経済生活の上でも個人的嗜好の上でも「知られざる世界」の住人である青年実業家と出会ってしまったことで生じた“心の漣”、逆に青年実業家が「自身の経験や理解の範囲から逸脱している」若い女性に出会い、どうしようもなく惹かれていることに気付かされた“戸惑い”というようなものが、肝要な事柄と考えるべきであろう…

本作の展開を楽しんだ上は…既に登場しているという“続篇”が是非読みたい!!