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↑本のサブタイトルになっている『不死鳥狩り』という作品と、『戦後の戦争』という作品の2篇が収められている。何れも愉しく読了した。
『機動戦士ガンダムUC』に関しては、原案小説が在って、アニメや漫画が登場し、登場するメカの模型や玩具やその他の様々なグッズも展開された経過が在る訳だが…私は何となく原案小説に触れて、非常に気に入った。作品は“あの(作中)世界”というモノは「こういう感じだよな…」という雰囲気に満ち溢れているのだ。
『機動戦士ガンダムUC』の本篇は、最初の『機動戦士ガンダム』から始まって『逆襲のシャア』に至るまでの時代の「少し後」と設定されている。人類が“宇宙世紀”という時代に足を踏み入れた最初の頃から、厳重に秘匿されていた機密事項の<ラプラスの箱>なるモノが存在し、地球圏の政治経済に隠然と影響力を行使する“ビスト財団”がそれを保有している。地球圏を統治する連邦政府に対し、“ネオジオン”が在った。<一年戦争>と呼ばれた大戦でジオン軍のエースパイロットとして活躍し、スペースコロニーの運動の指導者であったジオン・ダイクンの遺児でもあるシャア・アズナブルを指導者とした“ネオジオン”の軍事行動が鎮圧されても尚、“ネオジオン”の残党は活動を続けていた。この“ネオジオン”が“ビスト財団”に接触している。<ラプラスの箱>が“ネオジオン”に引き渡されるとの情報が出ている。“ビスト財団”の代表に会うべく隠密活動をしている“ネオジオン”の工作班の動き、そして動向を監視して機密の譲渡を阻止しようとする連邦軍部隊。彼らの衝突から、物語の幕が開く…
ということなのだが、この『機動戦士ガンダムUC』に関して、“前日譚”となる『戦後の戦争』と、本篇の物語の時期に別の場所で発生していた事態ということになる『不死鳥狩り』の2篇が登場し、書籍化された訳だ…
2篇の中、私が気に入ったのは『戦後の戦争』の方だ。後日に<シャアの叛乱>と呼ばれる“ネオジオン”の軍事行動が収束した後の、連邦政府、軍、巨大企業、“ネオジオン”の残党の複雑な関係性から、何やら不穏な事態が生じるという感じの物語だ。『機動戦士ガンダムUC』の本編で、“ネオジオン”残党の指導者が搭乗するメカが出て来た経緯が綴られる…
巨大企業と軍との“談合”が在り、試作機のモビルスーツ(人型機動兵器)に関して、「輸送中の宇宙艦から“ネオジオン”が奪取する」ことを「“黙認”してしまう」という情報が在った。これを聴いた軍情報部の男が、“談合”を度外視した行動を始める。その顛末が描かれるのが『戦後の戦争』である…
『不死鳥狩り』は、本篇の時期に別の場所で発生していた事態が描かれる…
『機動戦士ガンダムUC』の主役メカは、<RX-0>という型式番号を与えられたモビルスーツだ。主人公の少年、バナージは<ラプラスの箱>を巡る事変が勃発しようとしていた現場に居合わせ、自らの出自の秘密を知り、<RX-0>の1号機である<ユニコーン>を託される。そして<ユニコーン>と共に各所を巡って事変に関わって行くことになる。
本篇には、<ユニコーン>の他に<RX-0>の2号機である<バンシィ―>が登場している。<ユニコーン>が白い機体で、<バンシィ―>は黒い機体だ。(“ガンダム”シリーズのアニメでは、「黒い」と形容されるメカが、寧ろ「遠目に黒っぽく見える濃紺」という場合が多く在る。<バンシィ―>もそういうパターンだ…)
そして『不死鳥狩り』には、<RX-0>の3号機というモノが登場する。<フェネクス>と名付けられた金色の機体だ。この<フェネクス>は、性能試験の最中に、システムが暴走してしまい、何処かへ去ってしまっていた…そこで、この<フェネクス>を捕獲、または破壊する目的の特務部隊が急遽編制される。本作『不死鳥狩り』は、この特務部隊に入り込む男の物語である。この男の過去と、<フェネクス>を巡って展開する、進行中の不思議な一件とが折り重なりながら物語が展開する…
本篇の小説を愉しんだ経過が在れば、この2篇はかなり愉しい。そして最初の『機動戦士ガンダム』から始まって『逆襲のシャア』に至るまでのアニメ等に親しんだ経過が在れば、『戦後の戦争』の方は愉しいと思う。
或いは…「時には好い…」という感じの本というように思った…『機動戦士ガンダムUC』に関しては本篇が好い!!
