
新装版・梅安冬時雨 仕掛人・藤枝梅安(七) (講談社文庫)
本作は…“絶筆”である…作者、池波正太郎が他界する少し前までに綴っていた分を纏めてある…恐らくは、4冊目以降の他作品同様、「1冊程度の纏まった話し」を構想していたと思われるが…物語は完結していない…
本作もまた、「白子屋一党との抗争」が縦糸になりながら、物語が織り込まれている感である…
本作で、何処と無く“キーパーソン”的な感を抱かせてくれるのは、おしまという女である…
彼女は江戸の元締め、音羽の半右衛門の配下で、元締めが与える使命を果たす人物である筈なのだが…“敵方”の伊八の所へ入り込み、懐に入り込む“手段”として伊八と関係していた…伊八が排除された時、彼女は彼女の中の“変化”に戸惑う…やがてその“変化”を容れるような具合になっていく…
この“仕掛人・藤枝梅安”の各作品には、このおしまを含めて多彩な人物が登場し、それぞれの「心の揺れ」が巧に綴られている場合が非常に多い…藤枝梅安を執拗に狙う、白子屋一党の側の仕掛人―或いは“刺客”とか“暗殺者”と呼ぶべき雰囲気な劇中人物も多いが…―にしても、その「心の揺れ」が見事に描かれている…だから、このシリーズは面白い!!
本書は、作品の長さが中途半端になってしまっていることから、嘗て雑誌に掲載された、池波正太郎の取材旅行の写真や、雑誌関係者との対談等も収録されている。それも、“仕掛人・藤枝梅安”の世界観、池波正太郎の価値観を知る上で興味深いものであるように思った…
大変残念なことに、この未完の『梅安冬時雨』は完成を見ることはない…しかし…“仕掛人・藤枝梅安”は不滅だ!!思い付いて出会ったこのシリーズ…大変に幸いな出会いであったと思う…





