『鉄道アイドル伊藤桃 小田急全駅ものがたり』

↓偶々、本書の存在を知り、興味が湧いたので手にしてみた。非常に興味深い一冊であったと思う。

鉄道アイドル伊藤桃 小田急全駅ものがたり



↑一部に人気が高い女性タレントの名を前面に出している本書の題名である。が、内容としては単に「小田急全駅ものがたり」とでもして、著者名に「伊藤桃」で、「(鉄道アイドル)」という位で差支えなかったように思う。著名な著者の本だからというのでもなく、面白い内容なのでということで手にして読むべく一冊であるように思う。

鉄道利用で方々へ旅に出ることを好み、車輛や駅や沿線の様々な文物や各地の美味しいモノを取上げて紹介するというような活動を続けている著者である。そういう流れの中で小田急に取組むという話しが持ち上がって、その関係を纏めたということであるようだ。

小田急は新宿駅の西側で発着していると承知している。小田原への本線や江ノ島線と多摩線で70駅、傘下の箱根登山鉄道が4駅と意外に駅の数が多い。個人的にはそこまで駅が多数に及ぶとは知らなかったのだが。著者はあおれらの全駅について、路線の延伸や駅の開業や目立つ改装工事の経過というような事情を纏めているが、「実際に下車してみて感じることや見えて記憶に残るモノ」というような話題も織り込んでいる。“あとがき”から拝察すると、概ね1年程度の期間で、順次駅を訪ねて本書の取材をしていたのであろう。取材時の都合で季節が様々であったのであろうが、明るい時間帯に訪ねている駅の中に、陽が落ちた頃に立寄ったという駅も散見している。

路線の延伸や駅の開業や目立つ改装工事の経過、更に駅名の起こりや変遷は「調べると判る」という面も在る。が、各駅に著者が実際に立寄っての感というのが交じるのは基調だ。加えて、一部の駅、と言って38駅の周辺で「街の一寸した居酒屋」という風の御店に立寄って様子や、酒食を愉しんでみた感想が入っている。こういう感じの内容は貴重だ。

丁寧な取材での沿線紹介はなかなかに好い。更に別な路線のモノが出てシリーズ化というような感じになるのも面白いかもしれない。

小田急線に関して、個人的には、相対的に利用頻度が低いような気がする。本書を「余り知らない地域の紹介」という感覚で、また小田急の経過を紹介する内容として興味深く愉しく読んだ。何時か訪ねてみたいというような場所も本書の中に多く取上げられていた。なかなかに好い一冊と出逢えた。

この記事へのコメント