『悪が勝つのか?―ウクライナ、パレスチナ、そして世界の未来のために』

↓進行中の大変な事態であり、既に何年間か経てしまっているという事案を巡って、その推移を見詰めて見通し等を論じることを試みている一冊である。非常に意義深いと思う。

悪が勝つのか??ウクライナ、パレスチナ、そして世界の未来のために (法と哲学新書)



↑少なくとも現今のウクライナの事態は2022年以降のことだ。その事態を巡って、本書の中で「前著」と呼ばれる同じ著者による論考の本が出ているという。その出版後に発表した論考を収め、更に本書に独自の論考も加えている。本書ではウクライナの事態に加えてガザでの紛争、パレスチナの事態に関しても詳しく論じている。

2022年以降のウクライナでの事態に関しては、最近になって改めて「停戦」が模索されている様子だ。そういう中で、著者が少し納得し悪い論も色々と在るとして、その辺りを考えるというのが本書の趣旨である。

題名に在る「悪が勝つのか?」である。これは開戦に纏わる国際法や、交戦に纏わる国際法を度外視している勢力を“悪”とした上で、そちらの側が何らかの利益を得るかのようなことになるのは好ましくないという意味である。ロシアは自らの軍事行動を「特て軍事行動」というように称し、「戦争」とは呼ばない。そして開戦や交戦に纏わる国際法を度外視して侵攻を続けている訳である。

こうした前提に立ちながら、著者は2023年5月、2024年5月、2025年1月とリアルタイムに論考を2023年から2024年の論考に関しては、章末に補足を一部添えてはいるのだが、進行していた様々な事態を見詰める目線は熱い。そして「筋は通さなければならない」と切々と訴えていると思った。

ウクライナに関しては2022年以降の現今の事態に至る以前、2014年頃からの摩擦、武力衝突という問題も在る。そうしたことを交えて詳しく説いているので、本書は参考になる。

自身、パレスチナの件に関してはウクライナの件程に知識を蓄えているのでもないが、本書により色々な事を知った。パレスチナの人達に関して、何らの権利も護られないないような、「アパルトヘイト」で酷い差別を受けた人達のような立場に追いやられるかのようになってしまっていて、この問題に関しても様々な国々等も関って何とか好いように解決しなければならないということが判る。

「筋は通さなければならない」であろうが、ウクライナの事態は少しでも早く軍事行動の停止を達成しなければ、損なわれた様々なモノを取り返しようが無くなるばかりなのだと思う。困難は伴うであろうが、色々な人達の叡智が集められなければならないのであろう。実は2014年頃からの摩擦、武力衝突という問題が、当事国以外に伝わっている以上に酷く根深く、それ故に拗れた何かが2022年に暴発し、現今の事態に至ってしまっているのかもしれない。何れにしても、侵攻を始めた側が退かなければ、軍事行動は段落しないとも思うのだが。

重要で煩雑な問題に関して、或る程度リアルタイムで綴った論考を読み易い形で纏めた本書は非常に有益だと思う。結局、少しでも「色々な事を知ろう」として、それに基づいて考えることを続けなければならないように思う。こうした酷い紛争に関しては、「忘れてはならない」ということであるとも思う。少しヒステリックに感じられる程の取り上げ方も如何なものかと思わないでもないのだが、軍事行動が延々と続く中でウクライナの社会が損耗し続け、非常に多くの人達が幸福になり悪いということは覚えておきたい。

こういう種類の本は、眼に留まったら手にしたい。

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