↑刑事の鳴沢了が主要視点人物で、その第一人称で綴られている物語である。何処となく、外国作品の翻訳というような雰囲気も漂うと思う。紐解き始めると「続き」が気になって我慢出来ず、頁を繰る手が停められなくなる。
題名の「久遠」は「永遠」にも通じる語だが、遠い過去を、または遠い未来を意味する表現なのだという。シリーズの第10作で「区切り」となる中で、主要視点人物の過去や未来への様々な想いが籠った内容であることを示唆するような題名だと思う。
物語は早朝に鳴沢が自宅に在る辺りから起こる。
日頃から午前6時頃に起き出して、天候が悪いか取り込んでいるかでもなければジョギングに出るという鳴沢だが、午前5時に電話が鳴って起こされてしまった。なっていた電話に出れば無言電話である。
目が醒めてしまったので如何しようかと思案していれば来客である。何者が現れたのかと訝って対応すれば、青山署の捜査員だった。捜査員達は有無を言わせずに同道を求めている。事件の容疑者や重要参考人への対応そのものである。鳴沢は着替えて同道することになった。
鳴沢は青山署の取調室で聴取された。岩隈という男が前夜遅くに殺害されたのだという。鳴沢が過去の事件で接触した経過が在る、自称“ライター”という男である。前夜、急に「会いたい」という連絡を受け、余り気乗りもしなかったが、鳴沢は岩隈に会った。結果的に、殺害される以前に「最後に会った」という形になっているのだった。
聴取を終えた鳴沢は職場である西八王子署へ出た。捜査員達は取り込んでいて誰も居ないという様子の中、課長や署長と話す。そして「自宅待機」ということになったので帰宅した。
鳴沢は殺人の嫌疑を掛けられてしまったような状況である。事の真相を明らかにし、自身の窮地を脱しなければならない。そして鳴沢の孤独な闘いは始まるのだ。
こういうことで、様々な出来事が次々と起こる中で鳴沢が奔走する物語だ。過去の作品で縁が在った人物達が次々と登場する。「嵌められた?」という妙な状況の真相は如何に?目が離せない展開が続き、ドンドン読み進めざるを得ない。
素早く読了した上巻だ。そして下巻に素早く移行である。
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