シリーズの第3作である。頁を繰る手が停められなくなり、素早く読了に至らざるを得なかった。「続き」が気になって停まらなくなるのだ。余人には理解し難い独自な理屈で犯行を重ねる被疑者を必死に追う捜査員達ということで、眼が離せない展開が続く。
本作は県警捜査一課に勤める刑事の澤村慶司の目線で綴られる。向き合う事案を澤村慶司の目線で追うということになるのだが、一部に犯行に及んでいる者の目線で綴られる箇所が交じる。これは第1作と同じような形式だ。第2作は少し違った形式であったように感じたが、第3作になって最初の感じが戻っていると思う。
冒頭に事件が発生する場面が、犯行に及ぶ者の目線で綴られる箇所が在る。事件の舞台となるのは新潟だ。そして「そういうようなこと?やってしまう?」というようなやり方での殺人事件が起こってしまう。
そんな頃、澤村慶司は休暇に入ったところだった。県警本部の捜査一課から、長浦(※架空の地名)市内の所轄署の刑事課に異動することが決まっていた。異動の前に休暇を取るということになったのだった。
休暇期間に入り、澤村慶司は過去に捜査に携わった事件で亡くなってしまった少女の墓参りに足を運んだ。墓が在る寺の住職と偶々言葉を交わした。住職から新潟での事件について告げられた。新潟での事件となれば、遠くの他県のことなので、澤村自身は余り関係無いとした。が、住職は疑問を呈した。長浦市内の警察署でストーカー被害を訴えていながら、それが取上げられず、故郷の新潟に戻って少し過ごそうとしていた女性が新潟で殺害されたのだという。こういうことになると、他県の事件とばかり言っていられない感にもなる。
澤村は居ても立っても居られない感で、上司の谷口課長や、情報に通じていそうな県警内の知り合いに事情を尋ねた。ストーカー被害を申し出る女性の訴えを、結果的に撥ね付けてしまい、何等の対応もしなかったということで、殺害された女性の家族等が言い立てていて、それが事実であるのだという。ストーカー行為に及んでいたのは、殺害された女性が派遣社員として勤めた会社に勤務していた男性ということも判っている。その男性が殺害に関与した可能性は高く、新潟での事件後に如何いうように動き回っているのかは判らない状態だ。
澤村は「休暇中なので旅行に出るのだ」と称して、新潟に乗込み、独自に事情を調べようとする。女性を殺害した可能性が高いストーカーであった男性に関しては、新潟の街に在るのか、何処かへ離れたのか、判然としない。地元の長浦等の大都市圏へ去った可能性が高いとも見受けられたが、そちらの方面からの情報も無かった。
予想し悪い行動原理で動く被疑者である。犯行は重ねられようとするのだが、澤村達がそれを必死に追う。そして追跡の果てに如何なるのであろうか。
こういうようなことなのだが、「特異な殺害方法を採っている被疑者の逮捕の様子を観て、場合によって話しを聴かなければならない」と、澤村が少し鬱陶しいと思っているプロファイリング担当の橋詰が新潟に現れて出くわすというようなことや、真面目な少し若い後輩刑事という感の永沢初美が問題に取組むために新潟に派遣されたグループに参加しているというようなこと、突っ走る澤村に複雑な想いで向き合い、最終的に澤村も含めた体制で被疑者を追うように指示する谷口課長と、シリーズで御馴染な面々も動く。今作では、澤村を苛立たせながら飄々と動き回る橋詰に色々と在って面白い面も在る。
恐るべき被疑者という感で、それと向き合う澤村達の奮戦が熱い。そういう感じなのだが、基礎となるのは関係者に会って証言を集めて事の全体像を類推するという営為である。「そういうようなこと?やってしまう?」というようなやり方の犯行が在るのだが、それでもリアリティーが強く滲む本作だと思う。加えて余韻が深いとも思う。御薦めだ。
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