↑基本的には主要視点人物の第一人称で綴られる物語だ。何処か外国の探偵モノを翻訳している文章を想う。詩情が在る街の様子の描写、事態の中での主要視点人物の想い、周囲の人達との協力や対立、やがて明らかになる事の真相と、非常に読ませる物語だ。
物語は、或る男の遺体を見詰めているかのような人物の様子という描写が在って、以降は主要視点人物の第一人称というように綴られている。
青山署で刑事課に異動していた鳴沢了は、窃盗常習犯の取調を行っている。当直中に出動して逮捕したという男である。逮捕され、刑務所に入って、出てからまた逮捕ということを繰り返しているような男だ。取調には応じて色々と話すのだが、余計な御喋りが多く、鳴沢は少し疲れるような感じだった。
そういうことをしていると、本庁の理事官が緊急に招集を掛けているという話しが伝わった。特命事項で直ちに集合場所へ向かうようにということだった。取調べを別な捜査員に交代し、鳴沢は指定された警察署へ急いで向かった。
鳴沢了の他、別な署の今敬一郎という捜査員が招集を受けていた。2人を招集した沢登理事官の指示は、自殺と思われる状況で刑事が死亡した他方、近くに居たと見受けられる別な刑事が失踪してしまっているので、その失踪してしまった刑事を探し出すというものであった。極秘任務というようなことで、鳴沢と今とは方々の応援を受けられるのでもない中で、懸命に訊き込みを続けて、自殺したと見受けられる刑事や失踪した刑事の謎を明かそうとするのだ。
こうして辿り着く真相は如何に?という訳だ。
今作で鳴沢の相方となる今が面白い。通路を塞いでしまうように幅が在る体型の巨漢で、食事の心配を何時もしているような大食漢である。話しを聴く、大事なことを訊き出す、話して説くというようなことも得意だが、少し変わっている。静岡県の実家を継ぐので、何れ警視庁を退くとしている。実家というのは寺で、今は僧侶になるというのだ。この今が、鳴沢と好いコンビニなって行く。そして思い掛けない方向に進んでしまう事案で共闘するのだ。
今作には第2作で鳴沢の相方だった小野寺冴が登場する。警視庁を退いてしまい、私立探偵として活動しているということで鳴沢の前に姿を現す。鳴沢が協力を依頼するという部分も在るのだが、小野寺には独自の強い思い入れが在って、鳴沢が取組む事案に絡まっている感じだ。
鳴沢の好い相方になる今との共闘、そして小野寺が協力し、何やらとんでもない事柄に立ち向かうことになって行く。本当に眼が離せない。御薦めだ!
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