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↑日露戦争の辺りで大陸に権益を求めてそれを獲得して行き、中国大陸での様々な行動という前日譚のような事柄が在って、やがて満州国が建国されて行き、満州国での産業活動や文化活動や建設や入植が在り、日中戦争や太平洋戦争という局面になり、戦争に敗れて満州国の経過に幕が引かれる。そうした経過が非常に判り易く纏められている本文が在るが、本文の各章の始めに貴重と見受けられるモノも含む豊富な写真を説明を添えた形で示している。時間と空間を越えて「満州国」というモノが登場し、姿を消して行く迄の経過を眼で視ているような感じにもなると思う。
本書に関しては、写真部分と本文とのバランスが好いと思う。相互に補完して、「満州国」というテーマを身近にしてくれていると思う。個人的には街の建設が進められている様子、「あじあ号」のような鉄道、産業活動や文化活動に纏わる写真が興味深かった。加えて、一部に写真も在ったが、教育や移民という事柄は考えさせられた。
「五族協和」や「王道楽土」という満州国のスローガンだが、言葉自体は何時の時代にも目指されるべきことなのかもしれない。諸民族が手を携えて平和で豊かな国づくりを目指すということ、「覇道」の対極に在る「王道」というような善政が敷かれた体制を目指すということなのだから。が、満州国での実態は如何だったのか。その辺が本書では詳しく説かれている。
また本書では、満州へのソ連軍進攻で戦争が終結へ向かって行く頃の凄惨な戦いや混乱した様子というような事柄も詳しく説いている。「T34戦車に肉弾戦」というような無茶な様子、そうやって近在の村を護ろうと必死だった様等が伝えられる。そうした例の他方、方々へ軍隊を送り出してしまった後なので、無理矢理に人手を集め、普通は兵士が携行している銃の一丁も無かったというような様子や、引揚げようとした人達の苦難ということも伝えられていた。
所謂「戦後」も既に80年であるが、それ程に時間を経ても、本書のような形で伝えられるべき色々な事柄が在るのだと思う。なかなかに有益な一冊に出逢えたのは善かった。広く御薦めしたい一冊だ。

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