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↑一般に「幕府」と呼ばれるが、その内容が異なり、また異なる時代なので時代毎に色々と在ったというのが、鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府である。各々の特徴を判り易く説き、各々の時代の様々なことを紹介するというのが本書の内容だ。本書は鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府の各々を「章」というように纏めている。3つの「章」で構成されていることになる。
「幕府」というのは所謂「武家政権」ということになるが、本書はその「武家政権」という時代のあらましが要領よく纏まっていると思う。鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府の各々の成立経過や制度ということが各章に在るのだが、その他に「〇〇幕府の時代には…」という特徴的な挿話、その時代の社会や人々の様子が判るような内容も含まれていて、大変に興味深く読み進めることが出来た。「武家政権」という時代については、「面倒な用語や細々した年代をとりあえず覚えさせられた」という、敢えて申し上げてしまうが「知識の意義を踏み躙るばかりの“教育”を僭称する蛮行」の故に、一般的には印象が非常に悪いように思う。が、本書に関しては、社会の発達経過というモノも意識出来るような形で鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府の各々の時代の様子が物語として判り易いように纏まっていると思う。
「武家政権」の威光が完全に全国の隅々と言って差し支えない範囲に行渡り、その政権の下で各地の自治が在ったというのは江戸幕府の時代のことで、それ以前の鎌倉幕府や室町幕府は様子が異なっていたという事が本書を読むとよく判る。鎌倉幕府は関東での武士達の共同体という色彩が色濃いモノで、方々に必ずしも鎌倉幕府と関係が強いのでもない武士が存外に多かったということであるようだ。室町幕府は京都に幕府が設置されていたが、地方の統治を積極的に行っていたとは言い悪い側面も抱えていた。この辺は江戸幕府の様子とは違うが、その辺は正しく社会の発達経過というモノの故であろう。
鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府は各々それなりに長い年月に亘って存在していた。鎌倉幕府は源頼朝を核としたモノが次第に変容し、承久の乱を経た変貌も在るが、次第に北条家の“得宗”による専制という様相になる。この鎌倉幕府の後の室町幕府は南北朝の対立という要素の中で揺れながら成立し、将軍の権威が確立されるもののそれが弱体化し、応仁の乱を経て戦国時代に入って行く。江戸幕府は戦国時代の幕引きが図られた中で造られた体制であったが、大規模な戦乱が無い中での社会変化で色々な課題が噴出し、やがて幕末の動乱に突入する。本書ではこうした各幕府の“物語”が感じ取れる。
本書は「歴史を学んでみようとする愉しさ」に改めて気付かせてくれるような感じがする。広く御薦めしたい。

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