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↑雑誌に掲載された経過も在るモノが含まれるそうだが、対談と普通のエッセイ、解説的な文章というような内容が収められている。纏まり毎にドンドン読める。そして興味深い内容なので頁を繰る手が停め悪くなってしまう。
本書に関しては、映画『室町無頼』を大変に愉しく観て、映画の原案になった小説を綴った作家に興味を覚えて調べようとすれば、新書新刊として紹介されていた本書の4人の著者の1人として挙がっていた。興味深そうな感じに、その興味を覚えた作家が関係しているということが相俟って手にした本書だ。
「アンダーワールド」という題名に在る語である。英語の「underworld」のことであろう。英和辞典で調べてみれば「社会の最下層」、「下層社会」、「暗黒街」というような語義が在る。
そういうことで、本書の題である『室町アンダーワールド』というのは、正しく映画または小説の『室町無頼』のイメージ、または題名の言換えのようである。室町時代を背景に、何らの財産も社会的な地位という程の何かが在るというのでもない人達が一揆を起こすというのが映画または小説の『室町無頼』で描かれる物語で、主要な作中人物達は「社会の最下層」、「下層社会」というような感じの場所に在るということになる。あの物語で殊に重要な蓮田兵衛や骨皮道賢というような人達が蠢く様子に関しては、何処となく「暗黒街」という雰囲気も無くはない。
本書は「室町時代」に纏わる研究を手掛ける皆さんや『室町無頼』の作家が、室町時代、殊に「応仁の乱」というような頃、そこから導かれる戦国時代に関することに関して対談し、或いは綴ったという内容を集めている。
「室町時代」というのは、多くの人達が親しむ“時代モノ”の映画やテレビドラマや小説等の題材になっている例が相対的に少ないかもしれない。時代の区分としては室町時代の末期の異称というようなことになる戦国時代については“時代モノ”の題材として人気が高いかもしれない。対して「応仁の乱」の辺りの時期に題材を求めている例は然程思い当たらない。そういうことで地味かもしれないのだが、「そこに着目した理由」というような事柄等が語られるのが本書だ。そして複雑な経過を辿って、長い期間に及んでしまった「応仁の乱」に関することを少し判り易く整理することを試みた文章も在り、なかなかに読ませてくれる。
『室町無頼』の世界は、銭が集まる京で貧富の差が酷く開いていて、飢饉や疫病という様子も見受けられる中で有効な手立ても無い中、行き場が無い人達を束ねて行動を起こそうとする蓮田兵衛が現れる。そういう作中の“時代”に「現代」が垣間見えるような気がするということが話題になっていた。富が一極集中し、人々の間の格差が拡がり、好からぬ情勢の中で有効な手が打たれているのか否かも判り悪いというのが「現代」で、『室町無頼』の世界に少し通じているかもしれない訳だ。
大変に興味深い本書だが、末尾に「応仁の乱」や関わった人達に纏わる史跡を紹介する部分が在った。何れも京都市内の比較的訪ね易い場所だ。極々一部は知っていて立寄った経験も在ったが、余り知らなかった場所も在って興味深かった。こういう内容は一寸嬉しい。
手軽に、気軽に「或いは現代に通じる?」という室町時代の様子を考える材料を提供してくれる本書は非常に好い。広く御薦めしたい。

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