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↑頁を繰る手が停め難くなり、素早く読了に至った。
神戸という場所は瀬戸内海に面した場所で、古くから交易等の拠点となった経過は在る。例えばかの平清盛が日宋貿易のための港を整備したのも現在の神戸市内に相当する場所だ。そうした古くからの経過も在ることは本書の最初の方で触れられてはいるのだが、本書の主な内容は所謂「近代」、明治以降の経過である。現在の神戸港や神戸の中心的な市街は、幕末の開港の後に港の利用が伸びて行く中で発展したと言われている。そういう経過に関して過不足無く判り易い感じで纏まっている。
神戸は水害で大きな損害が生じて復興を目指した経過が在るのだが、その後はほんの題に添えられているように戦災が在って、1995年の震災を経験している。
戦災に関しては、殊に1945(昭和20)年頃に各地の都市が大きな空爆の被害を受けてしまっているが、神戸はそうした中で殊更に甚大な被害を受けた地域である。そうした被害の経過、復興を目指す動き、闇市、占領というような事柄、占領後の動きや、長く続いた戦後復興という流れの市街の整備というような事柄が説かれる。
そして震災である。震災の被害や震災後の動き、これに関して主に都市の整備の経過ということで語られ、加えて経験を伝えて行こうとする動き、その変遷というようなことが説かれる。震災も、個人的には遠い地域の出来事であったにも拘らず、凄まじい様子が伝えられて相当に驚いた記憶が在るのだが、既に30年経った。そうした中、「とりあえず災害前の様子に戻したい」から「時代の変化に合わせた都市空間の再整備」というような様子に変化していることも紹介されている。こういう「時代の変化に合わせた都市空間の再整備」というような様子について、個人的には何度か神戸を訪れて垣間見ていると思う。本書の記述について「見た様子かな?」と思いながら読んだ箇所も幾つも在った。
こうした内容に加えて、著者が携わっている仕事の一部でもあるようなのだが、「地域の歴史を伝える」、「資料や史料を整理保管して行く」というような重要なテーマに関しての言及、地域の歴史を纏めて伝える“自治体史”の編纂経過というような事柄に言及が在った。そうした辺りも非常に興味深く読んだ。
本書は「神戸市の歴史―都市整備篇―概要」というような感じで大変に価値が高いと思った。個人的には、少し前にコンディションが好くない様子で神戸に立寄って再訪を期したということも在ったのだが、そういう際にまた読み返すかもしれない一冊だ。何かで著名な方の言行を多く綴っているのでもなく、様々な史料や伝わっている証言等で読み解ける「街の様子」という観点で一貫して綴られている労作だ。
なかなかに佳い本に出合えた。余韻に浸りながら、本書を広く御薦めしたい。

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