![]() |
↑題名に「1980」と在って「1980年の或る日」というような様子から物語が起るが、作中で5年程度の時日が経ち、最終盤の方では「1985年の或る日」という様子になっている物語だ。
所謂「桜宮サーガ」のシリーズというのは、東海地方の架空の街、東城大学と大学病院の在る桜宮市で展開するシリーズの作品である。ドンドン拡がる世界が描かれた様々な作品を「桜宮サーガ」というように呼ぶ場合が在るようだ。
「バチスタ」ということで、東城大学病院を舞台にした物語が登場して、以降の展開が在る。作品が登場した2000年代の物語が主な作品なのだが、1980年代末から1990年代初めという物語が登場した。『ブラックペアン』のシリーズということになる。
この『ブラックペアン』に、凄まじい手技を誇る手術職人のような渡海医師が登場する。1988年頃という『ブラックペアン』から更に遡り、1980年頃からの数年間の渡海医師という物語が展開するのが本作ということになる。
渡海医師が凄まじい手技を誇る裏に何が在ったのかということが少しずつ明かされる。そして佐伯教授の居る大学病院での活動が続くのだが、佐伯教授と父との因縁のような事柄に次第に気付いて行く。そういうことで1980年代の冒頭から数年間、1985年頃までの渡海医師と周辺の様子という物語が展開する。
本作に関しては、作中世界の設定年代である1980年代前半の様々な様子に纏わう描写も交じる。多分、作者御自身の若き日の様々な想いが渦巻く時代なのだとも思うが、そういう辺りも少し面白い。
或いは「桜宮サーガ」の「起こる頃」という感でもあるが、1980年代に入った頃に活動を始めた若き医師の物語という感じで、後の時代を描く各作品と無関係に面白い。愉しい作品だ。

この記事へのコメント