↓そういう「少し気に入ったシリーズ」の“新作”ということで、殆ど発売と同時のようなタイミングで入手し、素早く読了に至った。と言うより、このシリーズの作品は頁を繰る手が停め悪くなる展開である場合が殆どで、本作もそういう例に洩れないのだ。
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↑本作の“追跡捜査係”というのは、捜査一課の中に設けられた係ということになっていて、捜査が滞って年月が経ってしまった事案を調べるという担当である。今作では、捜査が滞っているということでもない事案を巡って、“追跡捜査係”の捜査員も関わってしまう事案が発生するという展開である。
「警視庁追跡捜査係」というシリーズも本作で12作目である。一貫してこのシリーズで活躍しているのは、西川刑事や沖田刑事である。書類を読み込んで問題点を見出して調べようとする西川刑事に対し、とりあえず現場に出ることを重視する沖田刑事と対照的で、同期ではあるのだが親しいのか親しくないのか判り悪い不思議な間柄のコンビである。他方で西川刑事の妻と、沖田刑事のパートナーガ親しい等、何となく「家族ぐるみの付き合い」という様子も在る。
この西川刑事や沖田刑事は、本作では50歳代に入っている。シリーズが進む中で2人は年齢を重ね、周囲の若い同僚や係長は異動が在って変わっているのだが、2人は追跡捜査係の仕事を続けている。そんな中で本作の物語が展開する。
沖田刑事が係のオフィスに在籍していた午後、何やら周辺の捜査一課のオフィスが騒がしい。聞けば、千葉県市川市で事故死した男性の身元が判明し、その男性が1年程前の殺人事件の容疑者として手配中の人物であったというのだ。
この出来事は西川刑事にも伝えられた。そして西川刑事が帰宅すると奇妙な出来事が在った。手配中の被疑者が事故死したという事件は、真犯人が別に在るので、その情報を提供するという不審な手紙が西川刑事の自宅の郵便受けに投げ込まれていたのだった。
不審な手紙の差出人は情報を提供するとして西川刑事と会う場所と時間を指定して来ている。情報収集を重要視する西川刑事は「行ってみる」と考えた。それを明かされた沖田刑事は「危険に過ぎないか?」と疑問を呈する。
やがて西川刑事が足を運んでみた現場で「陰の一撃」である。
西川刑事を襲撃した謎の敵を探る、被疑者が事故死という事件の事柄、被疑者の事故死の真相と、幾重にも重なった謎を沖田刑事達、更に負傷してしまった西川刑事が探って解き明かすという物語となる。
作者は幾つものシリーズを送り出している。他シリーズの主要人物に関して「知り合い」として言及が在る場合や、少し登場するという場合も見受けられる。一部に「競演」というのも在るが、本作ではそういう次元のことは無かった。本作では、西川刑事が電話で話して相談する先輩として『ラストライン』の“ガンさん”こと岩倉刑事が出て来る、或いは犯罪被害者となってしまった西川刑事と妻や息子の対応をするとして『支援課』の女性で捜査一課出身の柿谷が現れるという場面が在る。こういうのも少し面白い。
新しい文庫本なので、これ以上の詳述は避けておく。が、最終的に明らかになる事案の真相に関する部分を読んで「こういうの…在るのかもしれないなぁ…」と強く思ってしまった。本作で“問題”になったようなタイプの人物は、実は巷には多いかもしれないというようなことを考えてしまった。
この「警視庁追跡捜査係」というシリーズは、12作も続くだけに、様々な要素を抱き込んだ興味深いシリーズなのだと思う。本作も御薦めだ。

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