『夢の終幕 ボーダーズ 2』

↓物語の冒頭で発生する“事件”が如何いう具合に進展するのか?紐解き始めると「続きはまた…」と、頁を繰る手を停めるタイミングを逸してしまうというような感で夢中になった。

夢の終幕 ボーダーズ 2 (集英社文庫)



↑休業日が続く最中であることを善として、時間を問わずに際限なく「力尽きる迄…」という勢いでドンドンと頁を繰り続け、一気呵成に読了に至ってしまった。逆に言えば「こう来るか?であれば?」というように、読んでいて止められなくなってしまうのである。少し前に始まったシリーズで、本作は2作目となっている。

本作は「明確に担当部署を決め悪い事案の捜査等を主任務とする」という架空の部署に所属する面々を主役とした、警察モノの物語である。「SCU」は「Special Case Unit」で、「特殊事件対策班」と号している。

「特殊事件対策班」は警視総監に直属の“遊軍”的な部署で、キャップの結城警視以下、綿谷、朝比奈、八神、最上という様々な部署の出身である捜査員達が配置されている。総員5名の小さな所帯である。

冒頭…「特殊事件対策班」に配備されているバイクの慣らし運転ということをしている最上が登場する。車輛の扱いや、コンピュータの利用に長けているという30歳の刑事だ。最上は居合わせた八王子周辺で連絡を受けて、現地の警察署に急行した。奇妙な事件が発生したのだ。本作は、この最上が主要視点人物となって展開する。

<FOT>という人気バンドが在る。前夜、長野県の松本でライヴを催し、終了後にバスで引揚げている。バスにはバンドのメンバー4人、事務所のマネージャーと運転手の計6人が乗っている。そのバスが行方不明で、6人の所在が不明だというのである。所属事務所が近所の警察署に相談し、密かに捜索が始められることとなった。如何いう訳か、バスが八王子で高速道路から下りたらしいということで、八王子で捜索が行われることになり、最上は駆け付けるのだった。

6人とバンドの機材等を載せたバスは、特殊な外見ということでもない普通のモノではあるのだが、やや大きな車輛であって、忽然と姿を消すというのも奇妙なことである。山の側に入り込んで事故を起こしてしまっているのか、そうでもなければ何者かに危害を加えられた、または誘拐というような可能性も排除し悪い。交通事故なのか、誘拐のような事件なのか、事情が判り悪い中で、担当部署を決め悪い事案の捜査等を主任務とする「特殊事件対策班」として事案を扱うと結城警視は決めたのである。

近隣警察署の要員から機動隊員まで、人数を投入して必死に山道でバスを探すが、なかなか発見出来ない。バンドのメンバーが出先や道中でラーメン店を訪ねることを好むという話しで、立寄る可能性を排除出来ない店に訊ねたが手掛かりも無い。そうして手詰まりになってしまいそうな中、事態が動く。

というようなことで展開する物語で、夢中になってしまったのだ。「時間無制限一本勝負」というように、夜に読んでいた本をずうっと読み続けてしまい、早朝迄に読了してしまった。

様々な事が少しずつ明らかになり、関係が薄い別件に視えた事に裏が在り、秘められた事情が少しずつ明らかになる。他方、懸命に駆け回る最上の個人の物語も在る。工業高校に学んでいた頃、ギターに夢中で、指の怪我の関係で演奏を続けることを諦めてしまったというような過去が在った。“音楽”で夢を見たことも在る者として、事案に入り込んで行く訳でもある。

このシリーズは、少し不思議な感じのキャップの下、各々に個性的な4人の捜査員が持ち味を活かして活躍するという感で、凄く面白い。前作では、八神が主要視点人物であったが、本作では最上より少し年長の捜査員として彼を支援し、誰もが見落としてしまうようなことに気付く独特な観察眼で事態の究明を援けるという活躍を見せた。次回作や、それ以降の登場にも期待出来そうだ。

>>第1作 『ボーダーズ』

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