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↑好評を博したシリーズの流れを受け継ぎながらも「新たな展開」ということで、作中のメインになる出来事に対し、主人公の個人的な事柄も巧みに配され、なかなかに面白い。
<犯罪被害者対策課>というシリーズが在った。文庫本で8作が登場しているシリーズだ。(全部読んでいる…)本作はその続篇、新展開と位置付けられている。
<犯罪被害者対策課>は「警察官」が活躍するが、捜査員ということになる「刑事部」に所属している警察官ではない。彼らは「総務部」に所属している。事故や事件の被害者、被害者遺族に関連する様々な対応を担うのがこの<犯罪被害者対策課>である。
<犯罪被害者対策課>では、将来を嘱望された刑事であった村野が、休日に巻き込まれた事故で大怪我を負ったた経過を踏まえ、負傷から復帰の際に<犯罪被害者対策課>へ異動を希望し、担当としての業務に勤しむ様子が描かれる。その活動の中から、事件の意外な事柄が判るというようなことも多々在る。また同じ作者の他のシリーズに、「何やらやって来た“支援課”の人間」として村野が現れて、当該シリーズの劇中人物と絡むことも色々と在った。
何かの事件に関しては、被害者側の家族等への対応という事も在るが、加害者側の家族等への対応という事も在る。場合によっては、被害者家族と思っていれば、実は加害者家族という場合も全く無いではない。身近な人が犯罪等に何らかの形で関わる羽目になってしまった人達全般について、可能な支援をしなければなるまいという考え方が出て来て、<総合支援課>という機構が新たに立ち上げられた。
本作はこの<総合支援課>が登場し、こういうことの担当者として密かに期待されていた、捜査一課から異動した女性警察官の柿谷晶が活動を始める。
発足したばかりの<総合支援課>は、総務係、広報係、第一係、第二係が在って、<犯罪被害者対策課>よりも機構は拡充している。現場対応は第一係、第二係が適宜分担ということになっている。柿谷晶は第一係に配属である。
新年度に入ったばかりの4月初め、妙な事件が伝わって来た。都立高校としては「三本の指に…」という評価が高い進学校で、生徒同士が争い、一方が他方を刃物と見受けられるモノで刺殺に及んだという。刺された生徒は死亡しており、刺したとされる生徒は逮捕されている。
<総合支援課>の第一係が扱う最初の事案は、この高校の事件ということになった。柿谷は少年課から異動して来た女性警察官の秦と一緒に、事件を扱っている所轄署へ足を運ぶ。
様々な事件の「被害者」または「被害者家族」に関する対応は<犯罪被害者対策課>で積み重ねられた経験が在る。が、「加害者家族」ということになると、誰も知らない事柄となる。所轄署を訪ねた柿谷は、刺殺された生徒の家族対応、被害者家族対応は署の担当者が取り組んでいるので支援課は無用とされたことを受け「それでは…」と加害者側、刺したとされる生徒の家庭の様子を視ることとした。
「そう言えば誰もやったことが無い?」に懸命に取組む中、柿谷は意外な事実に行き当たることとなる。「そういうことだったか…」という話しだ。
因みに…<犯罪被害者対策課>シリーズの村野も<総合支援課>の総務係に居る。如何いう出番?それは本作で確かめるべきであろう。
本作は明確にシリーズを意図した作品であろう。「続き…」が多少気になるような内容も織り込まれていると思う。

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