『雪に撃つ』

↓「続きが酷く気になる…」という作品で、ドンドンとページを繰ってしまう。ページを繰る手が本当に停められなくなり、素早く読了に至ってしまった。

雪に撃つ (ハルキ文庫 さ 9-10)



↑気に入っているシリーズの新作というのは、「遠方の友人知人の消息を知る」という感じで愉しく読むのだが、本作もそういう例に漏れない作品で、とにかく大変に愉しかった。

作品の主な舞台は札幌である。多分、中央警察署がモデルと見受けられる大通警察署に、盗犯担当の佐伯刑事と部下の新宮刑事、少年課の女性警察官である小島刑事が在る。そして機動捜査隊に在る佐伯刑事の古くからの仲間である津久井刑事、更に津久井の上司である長正寺警部が居る。こういう人達が主要な作中人物である。

シリーズ初期の作品は、警察部内での厄介事が在って、そういう中で仲間達が密かに奮戦するというような内容だったが、次第に意外な展開を見せる事件を公式、非公式に手を携えて仲間達が解決に向けて奮闘するという感じの内容になって行っている。本作もその後者、幾つかの出来事が結び付いて行く中、仲間達が奮闘して事件を解決へ導くという体裁である。

冒頭、長万部駅の辺りで、用事で他地域に出掛けた女子高生の孫を迎えに出た男が、「煽り運転」のような乱暴な走り方をする車に戸惑いながら、「酷く訳アリ?」と見受けられる外国人らしい女性が列車に乗れるように駅へ送るという挿話が入っている。

それから数日後、札幌で<雪まつり>の開幕前日、所謂「前夜祭」となっている日に舞台が移る。

佐伯刑事と新宮刑事は、自動車の窃盗事件の現場に駆け付けていた。キーを付けてエンジンも停めずにコンビニに珈琲を買いに出た男が乗っていた、会社の車が盗まれてしまったのだという。自動車盗難事件として捜査に着手することとなった。

小島刑事は、過去の事件で知り合って、現在でも交流が在る人物から相談を受けた。釧路に住む知人の高校生の娘が家を飛び出し、釧路から夜行バスで札幌に出たらしい。おかしな事態にならないように保護しなければならない。保護者に、釧路の警察署に届けるように促し、小島刑事は高校生を探し出そうと活動を始めた。

津久井刑事は妙な通報を受けて現場に駆け付けていた。近くを通ったカーチェイスのような車をやり過ごすと、乗っていた車の様子がおかしいので停車すれば、何やら「弾痕?」のようなモノが在るというのだ。発砲事件らしい。そして関わった車というのが、佐伯刑事が対応しようとしていた盗難車である可能性が在るということになった。

主要劇中人物達が、各々の担当する事案に普通に関わろうとしているのだが、それが思いも掛けない「裏」を持っていて、やがて収斂する…

「雪まつり」が開幕しようかという慌ただしい感じ、賑わった感じの1日を背景に、思いも寄らない拡がりの在る事件が展開している。アップテンポに挿話が折り重ねられながら展開する物語だが、何か「映画…」のようで強く引き込まれてしまう…

個人的には、札幌の地名が出て来ると「あの辺…」と判るので、読んでいて情景が凄く思い浮かび易く、何となく力が入る。このシリーズとしては、雪が降り頻る場合も在るような時季を舞台にした例はこれまでに無かったと思う。本作は、雪が交る中、「雪まつり」の時季の風情が描き込まれていてなかなかに好い。

とにかく愉しい!!

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