『悪の包囲 ラストライン5』

「(気に入っている)シリーズの小説の新作」というモノは「御無沙汰傾向の遠方に在る友人の近況」というようなことに触れる感で、出くわすと非常に嬉しい。

<ラストライン>は、色々な意味で部内の“名物男”である50歳代の「ガンさん」こと岩倉刑事が活躍するシリーズだ。<ラストライン>として既に4作、そして同じ作者の違うシリーズである<追跡捜査係>で主要視点人物の1人となって「ガンさん」が登場して活躍という例も在る。正式にシリーズとして5作目、「ガンさん」が活躍する物語としては6作目の文庫本が登場した。

↓地方の小都市では新刊の文庫本が入手できるのは、出版社で「発売!」と宣伝する碑の何日か後だが、御近所の書店に入って売られ始めていたのに気付いて直ぐに求めた。カバーの帯にシリーズ各作品が紹介されているのだが「全部読んでいて、この新作を愉しみにしていて…主人公の“ガンさん”が好いのです…」と無事に入手した。

悪の包囲 ラストライン5 (文春文庫 と 24-20)



↑直接的には、「ガンさん」の前の任地である南大田署で携わった事件で、武器の密輸出のようなことに携わっているらしい集団の存在が示唆された「第3作」の「続き」というような色彩も帯びている。そういうシリーズ要素はそれとして、独立した一作品として非常に愉しい。凄く素早く読了に至ってしまった。

「ガンさん」こと岩倉刑事にも、仕事上の関係で公にしているのでもない、「個人的な付き合い」というモノが在り、そういう中に在る場面から物語は起こっている。

そういう個人的な付き合いの時間の他方、立川中央署の刑事としての公的な時間は在り、場合によっては警視庁の本部へ用事で出向くことも在る。そして本部へ用事に出向けば、食堂で食事を摂る場合も在る。

その食堂でサイバー犯罪対策課の福沢という男に出くわした。この福沢は、大学と組んで記憶力というモノの研究をするので、岩倉刑事に協力を求めると強く迫った経過が在り、そういうのが鬱陶しいと岩倉刑事は所轄への異動を希望して本部を去っていたのだった。食堂で出くわし、福沢がまたその話しをするので岩倉刑事は「この野郎!」と掴み掛るような感じになる。通り掛かった岩倉刑事の少し先輩で、失踪課の高城課長が割って入って宥めた。が、「何やら岩倉は福沢に遺恨が在るようだ…」と噂になる。

そんな矢先である。岩倉刑事が管轄内での事件の報を受けて現場に出向けば、自宅アパートで福沢が惨殺されていたのだった…

福沢が殺害された事件の特捜本部が立ち上がったが、一部の捜査員は「本部で岩倉が福沢と揉めていた」ということで、岩倉が被疑者であるかのような目線を向ける者も在るという。

そういう中、岩倉刑事は特捜本部から距離を置いて独自に動き、誤解が解けた後も“遊軍”として独自に動くこととなる。

「無茶をしなければならない時がある。今がまさにその時なんだよ」と危険な状況に飛び込んで行くことになるまでの経緯、そしてその危険な状況が描かれる本作…目が離せない!

<ラストライン>のシリーズは、謎の集団の活動に関する事柄が見え隠れして、益々盛り上がっている感だ。それはそれとして「ブレないベテラン」が独特な存在感を示して活躍という様子が痛快だ。本作のような感じであれば「続き…」がきっと在るであろうと期待させてくれる。

或いは?愉しくシリーズを読んでいる一ファンとして勝手に思うのだが…<ラストライン>の第1作で「ガンさん」と一緒に活動することになった新人として登場した伊東彩香刑事が在ったが、異動して機動捜査隊や特殊班で頑張っている。本作でも「ガンさんの弟子だから…」と一生懸命に助けてくれる。遠くない将来、この伊東刑事がヒロインになるシリーズも出て来るのかもしれない等と思わないでもない…

“遊軍”として動き回って大活躍の岩倉刑事という本作…実に面白い!!

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