作中世界で事件が発生して、警察関係者が色々と動いて、事件が如何なって行くのかという顛末が綴られるというのが、この種の小説の“御約束”だ。本作もその“御約束”に則っているのだが、登場する警察関係者がやや変則的だ。架空の部署なのだと思うが、「所管すべき部署が曖昧と見受けられる事案を取り扱うべく設けられた」ということになっている、言葉を換えると「どういう事件でも関わって構わない」とされる<特殊事件対策班>というチームが登場する。この<SCU>という略称を与えられた<特殊事件対策班>の面々が活動するというのが本作だ。
物語の冒頭は、昼休みのオフィスで将棋を指している人達という場面から起こる。その新橋のとあるビルに入居するオフィスが<特殊事件対策班>というチームの本部である。
<特殊事件対策班>というチームは色々な部署から集められた捜査員達が所属している部署である。主要視点人物となる八神は捜査一課出身である。さり気なく左遷されたのかもしれないという思いで、何となく不慣れな新しい部署に在る訳だが、オフィスでの昼休みの将棋では少し年長の綿谷に全く歯が立たない。
そういうような場面が一転する。近くの銀行で「立て籠もり」という事件が発生したのだという。八神は若い最上と連れ立って現場へ駆け付けた。
銀行で「立て籠もり」という異様な事態だが、現れた男が居合わせた男性を刃物で刺す等して、何やら混乱した状態を警備員等が収拾しようとしたところで行員を人質のようにして騒ぎになってしまったというのだ。
男は逮捕されたが、男が刺したという男性は死亡してしまった。八神は班を統括するキャップの結城から指示を受け、死亡した男性に関して調べることになった。すると意外な事実に行き当たった。学生運動が盛んであった40年程前、デモに参加した学生が警察官を殺害したらしいという事件が在って、今般の「立て籠もり」の騒動で死亡した男性はその事件の容疑者として手配された経過が在った人物らしいというのだ。
<特殊事件対策班>というチームが動き、眼前で起った事件と、40年も前の事件、そして他の事件が結び付いて行く。各々に特徴が在る捜査員達が、彼らにも「やや判り悪い?」と受け止められる結城キャップの下で各々に活躍する。
何か「新シリーズの登場という関係主要メンバーの顔見世」という雰囲気もしないではなかった。が、眼前の出来事と過去の出来事、更に別な事件が結び付いて、それらが一気に解決へ向かって行くという「爽快なエンタテインメント」という具合に纏まっている。
「人気シリーズ」を幾つも送り出す作者の手になる本作だが、さり気なく「部内で伝説のようになっている取り調べが上手いとされる刑事」とか「手段を択ばない非常な一面も在る先輩刑事」というようなことで、八神刑事が他シリーズの主人公に言及する場面も在る。作家のファンとしては少し頬が緩むが…
とりあえず登場した“新シリーズ”の第1作ということになる筈の本作。一寸愉しい!
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