↓それが切っ掛けで入手し、紐解いてみた三島由紀夫作品である…
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↑昭和30年頃を舞台に、当時の三島由紀夫自身と遠くない年代と見受けられる主人公による物語が展開している。独特な心象世界のようなモノを有する青年の、或る女性との交流による「揺れ動き」というような物語かもしれない。そして、作品の発表当時に女性と交際していたという経過が、作中の描写に大いに繁栄されているという説も在るらしい作品だ。
主人公の昇は、電力会社に勤める土木技師である。発電所の建設等に係るという仕事だ。
この昇は、電力会社の会長を務めていた祖父の下で育ったという生い立ちだ。大学で学んで技師になって安定した給与も得ているが、一定の財産も持っている。「付合いが悪い…」とはよく言われたが、昇は自身としての愉しみ、人生を謳歌していると言えた。「一夜の関係」という感で、色々な女性との交流が在り、そういうことを愉しむことを専らとしていた訳だ。
そんな或る時、昇は顕子と出会う。「感動しない女」と称する、少し変わった個性の若い人妻である顕子に、昇は強く惹かれたようだ。
その顕子と知り合った頃、昇の周囲では建設が始まったダムの仕事で現場に入るという話しが在った。雪深く、冬季には近くの街との往来が困難な現場での“越冬”という話しも在った。昇は、そのダム建設現場の“越冬”に参加する間、可能な手段でとりあえず連絡を取ることを顕子と約し、そして現場へ向かった。
昇と顕子との関係が如何いうようになって行くのか?更に2人の各々の人生は如何なるのか?そういう物語だ…
“越冬”という状況も含めて、昇が動く辺りの描写が色々と出て来る本作だ。それらに凄く強く惹かれる。そして、この少し変わった性格、感じ方の顕子が昇との関係で様相が変わって行く。そんな物語がなかなかに興味深い。
愉しく本作に触れながら、何となく「こういう作品がドンドン世に問われていた時代が在った…」と複雑な想いも湧き上がった。何か「不思議な魅力」の一冊になっているような気もした。
存外にお薦めな作品を見出したというように思う…

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