『骨を追え ラストライン4』

↓「警察モノ」の愉しい小説である…

骨を追え ラストライン4 (文春文庫 と 24-18)



↑これがなかなかに夢中になり、「続き…」が気になってしまい、時間を設けてドンドン読み進めることを停められなくなってしまう。

本作は<ラストライン>というシリーズの第4作と位置付けられている。が、<ラストライン>の主人公である「ガンさん」こと岩倉刑事の他、<警視庁犯罪被害者支援課>の主人公である村野も登場し、「本作の2人目の主人公」というような存在感を示す。

同じ作者による別シリーズ、<警視庁追跡捜査係>のシリーズで『時効の果て 警視庁追跡捜査係』という作品が在って、<警視庁追跡捜査係>の西川刑事と<ラストライン>の岩倉刑事とが共演、または競演している例が在る。今般は岩倉刑事と村野とが共演、または競演となる。

50歳代になっている岩倉刑事は、思うところが在って希望し、本部の捜査一課から所轄署の刑事課に移動したというベテラン刑事だ。<ラストライン>の第1作から第3作まで、加えて『時効の果て 警視庁追跡捜査係』とでは、蒲田周辺を管轄している南太田署に在った。本作はそこから異動して赴任した立川中央署での出来事ということになる。

立川中央署の刑事課で岩倉刑事は最年長の捜査員ということになった。課長は女性で、主に一緒に活動することになった刑事も女性だ。一緒に活動する熊倉刑事は、同じく警察官である夫と離婚したばかりで、心機一転と出身地域の立川に異動して来た経過が在ったが、少し元気が無い。そんなことではあるが、目下は一人暮らしの岩倉刑事としては、立川は居心地が悪くない街でもあった。

そこに連絡が入った。長く居住者も無く、手入れも行き届かずに近所で“幽霊屋敷”と呼ばれていた古い住宅を取り壊していた現場で、白骨化した遺体が発見されたのだ。遺体の身元は、10年前に失踪してしまっていた、近所に住んでいた失踪当時高校3年生であった女性と判明した。

失踪当時の捜査ではこの女子高生が交際していたとされる男子生徒が注目された。が、何も判らなかった。やがて男子生徒は大阪の大学へ進み、以降はこの件とも縁遠くなっていた。そして失踪した女子高生も発見されないままであった。

岩倉刑事は捜査活動に着手するが、ここにもう1人、行動を開始した男が居た。<警視庁犯罪被害者支援課>の村野である。

村野は捜査一課の刑事であったが、非番中に街で事故に遭い、一緒に居た当時交際中であった女性と共に負傷してしまった。膝を傷めてしまい、長時間歩き回るようなことが辛い状況である他、大きな心の傷から少しずつ立ち直ることもするべく異動を願い出て、<警視庁犯罪被害者支援課>の仕事に携わるようになったのだった。

その村野は、10年前に当時高校3年生の娘が失踪し、白骨化した遺体が発見されたということになってしまった両親への対応を担当することとなったのだ。

高校卒業後に大阪の大学へ進んだという28歳になっている当時の男子生徒だが、重い病気であった。若年性の癌で、相当に弱った状態で地元の病院に入院中であった。この人物に注目ということになったのだが、何かが変だった。

岩倉刑事は捜査員の立場で、村野は被害者支援担当の立場で各々に事件に携わり、事件関係者が秘めていた事柄の扉を一つずつ開けることになる。そして10年前に当時高校3年生であった女性の一件の、少し意外な真実を解き明かす。

「殺害後に遺棄と見受けられる遺体が発見された」という進行中な出来事とはなるが、殺害されてしまうという出来事は10年も前に起こってしまったと見受けられる。この設定が独特な空気感を醸し出している。言わば「関係者の10年」を岩倉刑事や村野が探って行く物語という感だ…

愉しい“シリーズ”というのは、新しい作品が登場する都度、「遠くの友人・知人の近況に触れる」というような面白さが在る。今般もそれを満喫した!

今作では岩倉刑事、村野という「共演または競演の2人の主人公」も好かったが、岩倉刑事が在勤する立川中央署の人達も一寸面白かった…

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