↓「南太田署の岩倉刑事」が活躍する『ラストライン』の続篇である。
↑大変夢中になって、昼に読み始め、夕刻から夜にも読み、続きが気になって深夜から早朝にも読んだ…頁を繰る手が停まらなくなり、素早く読了に至った…
前作ということになる『ラストライン』で、岩倉刑事は南太田署に異動し、着任した日から早速事件の捜査に加わることになっていた。その頃から1年半程度が経った、秋から少しずつ寒さが気になって行くような時季の出来事が本作では描かれている…
岩倉刑事は課長から管轄内のアパートに住む或る男の様子を視るようにという指示を受けた…
或る男…隣の北太田署管内で発生した女子大生殺害事件の容疑者として1年程前に逮捕、その後起訴されていたが、犯行の事実が全く認められないとして無罪判決を受けた若者だった。とりあえず母親と暮らしていたアパートに戻って来た訳だ…
逮捕起訴となった容疑者に関しては「推定無罪」で裁判が行われ、犯行を犯してしまった事実が認定されて有罪ということになって処罰を受けることになっている。日本国内では、有罪ということになる場合が殆どであるのだが、今般はやや珍しい「犯行の事実が認め難いので無罪」という判決だった。実際、若者は犯行を犯したということではないのだ…
岩倉刑事は若者のアパートの辺りを探る。若者の一家を古くから知る元警察官の自治会長や、子どもの時分からの友達等、若者とその母親や、現在は仕事の都合で他地域に住んでいる若者の兄に親身になろうとしている人達が在った。大都市では稀かもしれない濃厚な人間関係も見受けられる状況である。
そういう親身になって冤罪事件で苦労した若者を見守り、支えようとする人達は少数派で、「どうして無罪?」、「本当はやっていたのでは?」という観方が非常に強い状況であった。逮捕起訴の容疑者が有罪という場合が殆どである状況の故なのかもしれない。そして早くも“嫌がらせ”が発生しているような状況だった。
そうした中、殺害された女子大生と交際していた経過が在る学生が現れた。件の学生は若者のアパートに何度も押し掛ける…岩倉刑事は警戒する…
やがて…岩倉刑事は事件発生で深夜に呼び出しを受けたのだが…何者かと争って殴られた痕跡が認められる、橋から転落して死亡していた状態で発見された若い男は…件の学生だったのだ…
南太田署に特捜本部が立ち上げられ、岩倉刑事は捜査に参加することになる…そして解き明かされる事の真相?
こういう物語だ。二転三転しながら事態が動くので、かなり夢中になった…
岩倉刑事は、部内的に多少嫌われることも厭わず、ぶれることなく正論を吐き続ける男である。フィクション以上でも以下でもない小説に登場する刑事だが、こういう男が何処かで密かに活躍していて欲しいものだと思ってしまうような一面が在る…
その岩倉刑事に加え、問題の学生などと女子大生殺害の件の際に接した経過が在る北太田署の被害者支援担当者の女性警察官である今川香奈枝、特捜体制下でコンビを組む捜査一課からやって来たフットワークが好い花田刑事というような面白い人物が出て来る他方、前作で登場して異動したことになっている新人だった伊東刑事の後任ということになる、何か胡散臭い川嶋刑事等、本作で登場する周辺の作中人物達も面白い…
ぶれることなく原則論を貫いて仕事に取り組む岩倉刑事の活躍…シリーズとして続くような気配だが、一寸楽しみである…
それにしても…偶々2冊の文庫本を入手し、何となく2日続けて随分と夢中になったものだ…
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