映画『サバイバルファミリー』(※ 記事中に「ネタばれ」が在ります…)

ユジノサハリンスクでは<日本映画フェスティバル>という催しが毎年開催され、なかなかに好評を博している。ユジノサハリンスクに日本国総領事館が開設されて日が浅い頃からの“文化交流”の取り組みで、今年で17回目であるそうだ。

<日本映画フェスティバル>という催しは、ユジノサハリンスク市内の映画館で日本の映画を上映する。上映時は「ロシア語字幕」という形で、日本語のまま上映される。

今般、5本の映画が上映される中、『サバイバルファミリー』という作品を観た。

↓これが予告編だ…

↑この予告編は何かの折りに観た記憶が在る。が、本編は観ていなかった…初めて観るということになった…

色々な要素が詰め込まれた感じで、「一気に終幕まで…」という感じの作品であったと思う。

東京都内のとある10階建てマンションに住む一家…会社員のお父さん、専業主婦のお母さん、大学生の息子、高校生の娘という4人家族だ…

映画が始まると、賑やかな東京の画が入って一家の日常が描かれる…何処かの会社の経理部門か何からしい場所で仕事をしているお父さん…鹿児島の実家の父から贈られた魚をどういう具合に調理したものか、正直なところ“有難迷惑”な感になっているお母さん…携帯ばかり弄っている娘…何やら地味で無口な学生の息子…それぞれバラバラな感じの家族にも見えるが、「イマドキ」は「こんなモノなのか?」という雰囲気だ…

そんな一家に…と言うよりも作中世界に「大異変」が発生してしまう…

ここから先は「ネタばれ」な内容に言及する。不都合な方は、以降は読み飛ばして頂きたいと思う…

或る朝、お父さんが目を覚まして「何時だ?」と時計を見ると、時計が停まっている…お父さんは慌てるが、どうやら停電だ。テレビも電話も使えず、とりあえずよく判らないままに会社に出ようとする。が、電車も停まってしまって混乱している。2駅ということで歩いて会社に辿り着けば、会社の入っているビルの扉が開かずに混乱していて、結局何人かで硝子扉を壊してとりあえず中に入るが、全ての電気で動くモノが動かず、全然業務が出来ない…

かなり広い範囲で停電しているようだが、停電の状況や原因が全然伝わらない…そして色々と混乱が拡がり、深まる…

この混乱が拡がり、深まる辺りの描写…率直に「少し嫌な気分」になった…映像作品で見受けられる、「余りに異様で気持ち悪い」とか「血腥い」ということではない…「昨年の9月6日」を思い出す、「生々しい感じの大停電」という様子で、「あの時」に「困ったなぁ…どうなる??」が頭の中で甦り、「少し嫌な気分」になったのだ…

作中世界の「大異変」は、送電、通電が停まるに止まらず、電池で動くモノや、電気的な装置で稼働するモノが悉く動かない。電池式の時計やラジオや携帯電話やその他のあらゆる機器に留まらず、機関点火に電気的な装置が在る車輛の類も悉く動かないのだ…

そういう状況が何日か続く中、「大阪以西は無事?」という噂が東京辺りで広まり、地方へ移動しようとする人達が相次ぐ…主役の一家も、お母さんの鹿児島の実家を頼ろうという相談になる…

そんな訳で、自転車を駆使して一家が旅をすることになるというのが、この映画の「メインの筋」となる。当初は空港まで自転車で向かって、鹿児島へ飛ぼうとしたが、飛行機も飛んでいないということで空港周辺が混乱する様子を視て「自転車で鹿児島を目指す」ということになる…

作中世界の「大異変」…「何日間か」という次元では済まない…何ヶ月間も続いていて、一家の旅も色々な人達との出会いや、様々な出来事が在って、西へ西へと進むことになる。「大阪以西が無事」という噂は正しい情報ではなく、大阪へ辿り着いても「大異変」の状況であるという描写が為される…

お父さんが、特段に頼りになるとか、頼られているというのでもなく、子ども達もバラバラ…現実よりも「携帯の中」が大切でもあるかのような状況…そんなモノが「大異変」の中で揺らぎ、変質していく…

自動車、飛行機、電動の鉄道車輛が動かないというような中、徒歩か自転車でも使う他に異動する手段が無いような状況…登場するのが蒸気機関車であったりする…SL観光列車の画を巧く使い、巧みな合成も在って、一寸面白い…

やがて一家は鹿児島に辿り着き、お母さんの実家に落ち着く…「大異変」の状況は続き、何やら「電気が地方の小さな町や村に普及する以前の明治時代の村落」というような暮らしぶりになっている…

そして「原因が一切判らず、記録も残っていないので研究も困難」という作中の「大異変」は2年半続いたということになっている…そして旧に復して行くことになる…一家の面々は多少雰囲気が変わっている…

このエンディグ辺りを見て…作中のような「大異変」が2年半も世界中で続いたというなら、「世界はどのように変わった??」というのが酷く気になった…きっと「激変」してしまって、色々と妙な事になってしまうような気がする…

「“全てオフ”になった時、“人間がオン”になる」というキャッチフレーズが本作には在るようだ…「なるほど…」と思う面が在った…個人の人生、身近な人達との係わり、その他色々な事について「少しでも大事にしているだろうか?」という問題提起が在るようにも思った…

「お笑い」を塗しながら、「なかなか考えさせられる」という感じだ…他方、冒頭の方に在る「イマドキの大学生や高校生の様子」を観て、「判る…」でもなく、「えっ?!こんな感じ?!」と驚いていた自身に気付き、何やら自身が酷く年齢を重ねてしまったというような気もしていた…

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