『地層捜査』

↓旭川の書店で求め、何やら夢中になって素早く読了した一冊である…

地層捜査 [ 佐々木譲 ]



↑佐々木譲による、新しいシリーズの1冊目ということになる作品だが、なかなかに味わい深いミステリーだ…

警視庁捜査一課の捜査員である水戸部警部補は、キャリアの上司と悶着を起こしてしまったというような経過で謹慎中だった。そのうち所轄への異動も在るだろうと思われたところに、水戸部を評価している課長補佐が訪ねて来て、新たな任務が与えられる。法改正で事項が廃されたことを受け、捜査一課内に未解決事件の再捜査を担当するグループを設けることになり、水戸部にその任務に就くようにということだった。

水戸部に割り当てられた再捜査案件…これは15年程前の、四谷警察署管内である荒木町で発生した老女殺害事件だった。これは「容疑者の可能性?」という参考人が浮かび上がるにも至らなかった案件で、再捜査を行うことが適当か否か判り難かったが、地元で区議会議員や都議会議員を務めた経過が在る人物が、事件当時に被害者と接触が在ったことから「色々と陰口を…」と気に掛けており、時効廃止を受けて「是非、再捜査でハッキリして欲しい」と四谷警察署に強い要請が入ったという案件だった…

水戸部は四谷署管内の現場に近い方面本部の建物に部屋を借りて再捜査活動をすることになった。特段に人員は割り当てられず、四谷署で刑事を務めていて退職した“相談員”の加納が水戸部を補佐するということになった…

街の古いことや、事件当時の事情を知る加納と組み、水戸部は未解決案件に挑む…「事件の後の展開」が鍵なのか、「事件に至るまでの何か」が鍵なのか、様々な出来事が地層のようになっている。水戸部は順次それらを調べ上げ、事の真相に近付く…

実際、本作はかなり面白かった!水戸部は30代の設定で、作中の事件当時は「仙台の大学生」だったと設定される。そこで土地の様子に馴染むところから捜査に着手するのだが、“案内役”の加納を介して街の永い経過が説かれる辺りが愉しい。そして、既に高齢になっている人等も含め、様々な証言が丹念に集められ、「事件の真相」が水戸部の中で構成されて行く訳だ…

或いは、嘗てWOWOWで放映されていた米国のドラマ『コールドケース』を想起させる雰囲気も在る。これは秀作だ!!

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