ブラインドの隙間から朝の淡い光が射し込む中、<大阪ストロング>を静かに啜る…静かな朝に頂く珈琲の美味さが際立つのは、<大阪ストロング>そのものの美味さの御蔭だけではない。今朝は、何か深い満足感に包まれている…
“白夜映画祭”と称し、近所の映画館で「オールナイトで映画を上映」という催しをやっていた…その中で「この作品!?」と大変に気になっていた作品が在った。午前3時40分から午前6時40分というような時間帯で上映されることを知り…金曜日の夕刻に食事を愉しんでから直ぐ休み…3時台に起き出して、映画館に足を運んだ…
↓観た作品はこれだ!!
「近日公開」というような映画の情報に触れ…「これは!?」と「前のめり」に「観たい!!!!」という作品は出て来るが…近所の映画館で必ず上映されるでもないし、上映されている映画館が在る街へ行く機会が設けられるでもなく、機会が在っても映画館へ道草するゆとりが無い等、些か残念な思いをすることが実に多い…この『KANO 海の向こうの甲子園』もその「残念な思い」をした経過が在る作品であった…それが、街の催しというようなことで観られた!!実に善かった!!
1931年の甲子園…現在の高校野球の前身である“中等学校野球大会”が物語の主な舞台となる作品で、台湾南部に在った「嘉義農林学校」(“嘉農”が通称で、野球チームのユニフォームには“KANO”の文字が入る…)のチームが主役である。映画館のホールに陣取って映画を観ていて、「劇中の野球チーム」に過ぎないのだが、何時の間にか「チームに声援を贈るように、夢中になっている…」ということに気付いて、多少苦笑いもしてみたくなった…
物語は、1944年頃の或る日、フィリピン方面に向かう将校が、「嘉義に着いたら起こしてくれ…」等と言いながら、台湾南部へ向かう列車に乗車するような辺りから始まる。この将校が、「忘れ得ない1931年の甲子園に現れた“嘉農”」を振り返るという体裁…加えて“嘉農”そのものの様子を追うというような、双方の筋が交差するような按配で物語は展開する。
冒頭の将校…直後の“回想”で“中等学校野球大会”に出場した経過が在ることが判る。「札幌商業学校」のエース投手だったのだ。開会式の回想…北海道から九州までの各代表に加えて、“京城”(ソウル)とか“大連”というプラカードも見える選手入場が行われている。当時の“中等学校野球大会”では、“朝鮮”、“満州”、“台湾”という出場枠も在ったのだ…選手達が勢揃いした辺りで「交通事情により、到着の遅れているチームが…」と戸惑い気味に司会が言い出すと、どやどやと現れた一団が…それが“嘉農”であった。「甲子園!着いたぞ!」とガヤガヤしていて、「お前達!!並ばんかぁ!!」と監督が一喝…バタバタと集合した選手達の列に“嘉農”の面々が加わった…「何だ?この連中は?」という“失笑”、“冷笑”というムードで迎えられた無名チームという按配だった…
こうしてこの“嘉農”が甲子園へ至った経過が語られる…
“嘉農”の野球チーム…「一度も勝ったことがない」ようなチームだった…メンバーとなっている農林学校の生徒達は、中国系商工業者の息子や現地民農業者の息子、日本人の土木や農業の技術者の息子で、「多民族混成チーム」だった…
このチームに、学校の事務員で会計係の近藤が出くわす…更に、近藤が四国の松山で野球をやっていて、指導者経験まで在ることを知った農林学校の教員が、野球チームの指導をするように口説くのだった…
近藤は、松山で野球の指導が巧く行かずに飛び出し、台湾に流れて職を得た過去が在ることが示唆され、教員に口説かれても逡巡したが、結果的に監督を引受けた…「多民族混成チーム」で「勝ったことがない」ので揶揄され勝ちだったが、近藤は「“野球をやろう”とするのに、民族は関係ないやろう!」と言い切り、寧ろ守備が巧い日本人、打力の高い中国人、俊足の高砂族とメンバーの持ち味を組合せて佳いチームが造れる筈だと“熱血指導”を続ける…
こうした中…チームの面々は“熱血指導”に戸惑いながらも懸命に練習に励む。「甲子園!」を掛け声に近所でランニングをしていて、「妙なガキども…」と街の“名物”のようになって行く…そうした中で、チームは「闘う姿勢」を持つようになって行く…
やがて甲子園の“1枠”を賭けた「全島大会」が始まり、」“嘉農”の面々は次々と強敵に競り勝って優勝し、台湾代表として甲子園に向かうのである…
本作はチームの面々の成長物語でもあるが、監督を引受けた近藤が自身を見詰め直す物語でもある。「各々の持ち味で佳いチームを…」というのが、美しく、熱い…甲子園では1回戦に勝っても「揶揄的な見方」をする人達が見受けられたが…そんな人達までもが、“嘉農”の奮戦に心揺さぶられるのである…
久し振りに「この映画が観られて善かったぁ!!」と強く思った。実は今日、6月20日午後1時から、稚内ではもう一回この作品の上映が在る。未見の方で、稚内に居てお時間が許すなら是非!!素晴らしい作品だった!!
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