人吉・熊本間で乗車した<九州横断特急>(2014.12.19)

「列車での移動」に際しては、「純粋に用事で移動」という場合の「可能な限り早く確実に動く」という基本的な要素が不可欠である他方、「“純粋”な用事でもない、お楽しみな旅行での移動」というような場面では、「より快適に」とか「(天候条件にもよろうが)美しい車窓でも楽しみながら動く」というような要素も大切なように思う。私の場合…「純粋に用事で移動」という場合でさえも、「美しい車窓でも楽しみ…」と考えてしまう傾向や、「車内販売の珈琲が!アイスクリームが!」と楽しみにしてしまうことも在るのだが…

JR九州の幾つかの列車に関しては、「可能な限り早く確実に動く」という基本的なことに加え、「より快適に」ということや「美しい車窓を愉しみながら移動」という点に配意をした列車が運行されているように思う。

<九州横断特急>…何となく大袈裟なような、豪快な命名の列車が在る…別府や大分と、人吉や熊本との間を、途中に阿蘇の高原を通過しながら結ぶ列車である。文字どおりに九州を東西に横断しながら運行されている…

「鹿児島から佐賀へ北上」と考えた時、<はやとの風>、<しんぺい>に乗車して、人吉から先でこの<九州横断特急>に乗車して熊本に移動することを思い立った…「人吉から先へ進む場合」の“接続”が、そういう具合に設定されているということも在るが…

<しんぺい>が人吉駅に到着した。「そこに鉄路が敷かれている」という事実“自体”を或る種の産業遺産、文化遺産として紹介し、向き合うような<しんぺい>という列車での移動が、思った以上に愉しかったという余韻に浸りながらホームに立つと、次に乗車する<九州横断特急>が発車に向けて待機していた…

↓赤いディーゼルカーが、夕闇が近付く人吉駅で並んでいる…

↑人吉駅では、跨線橋ではなく“構内踏切”でホーム間を移動するようになっているので、こんなアングルで車輌を視られる…

<九州横断特急>は、JR九州のカラーである赤い塗装が施されたディーゼルカーだ。キハ185系という型で、国鉄時代最末期の1986年に登場した。四国で活躍している車輛だが、JR四国が新型車両を導入して余剰が生じた他方、JR九州で旧型車の入替を検討していたという事情が生じ、一部がJR四国からJR九州へ売却された。現在では、このキハ185系は四国と九州で視られる。

このキハ185系だが…同時期に初登場して、現在も北海道内で視られるキハ183系500番台・1500番台―手近な辺りでは、稚内・札幌間の<サロベツ>に使用されている車輛がそのキハ183…―と雰囲気が非常に似ている。が、JR九州で見受けられるモノは「2輛運行」が可能なように改装されている。また、阿蘇の高原のような山岳路線で運用するために、エンジンを増設してパワーアップしているそうだ…

↓この<九州横断特急>…車輛の正面をよく視ると…“ワンマン”という表示が掲出されている…


“ワンマン”…基本的に「運転士1名が乗務して運行する」という意味だ…今時の列車…車掌が乗務していても「次は○○」というような停車案内は録音が流れる仕組みになっているので、ローカル線の無人駅のように「運転士に確認して運賃を支払う(運転席脇の箱にお金を入れる)、または切符や定期券を確認してもらう」という場面でも無ければ“ワンマン”は然程意識しないようにも思うが…

この“ワンマン”の<九州横断特急>だが、乗車する分にはその“ワンマン”を殆ど意識しなかった。と言うのも、車内販売等の乗客サービスを行う女性の客室乗務員が乗務していて、何処かの駅に着く手前では、車掌がやるような具合に「御乗換え列車の御案内を致します。○○行普通列車はX時X分、△番乗り場…」というアナウンスをしている。更に車掌が行う要領で車内検札も在る…一瞬…「女性の車掌が珈琲も売っているのか?」という感じさえした…

ところで…JR九州では「○番線」とか「○番ホーム」という言い方は聞かない…専ら「○番乗場」という言い方をするようだ…駅構内でのアナウンスでも、列車内の案内でも、これは共通しているように見受けられた。「判り易さ」に「こだわり」を持っているのであろう…

方々の鉄道を利用して、案内に不満を抱いた場面は殆ど思い当らないが…一つ「あのな?!」と思ったことが在った。在る駅で「上り特急列車」とか「下り普通列車」というような“上り”、“下り”だけで「○○方面」とか「○○行」を言わない案内を流していたことが在った。初めて入り込んだ地域だったので、“上り”、“下り”だけでは「どっちへ進むんだ?!」という状況であった…しかも…その時は、何やら事故の影響とやらでダイヤが乱れた状態がなかなか復旧せず、「苦戦しながら移動中」という状況だったのだ。掲出してある時刻表を視ても、どの列車が話題になっているのか推量することも不可能である。ここは、例えば「上り、○○方面の特急列車」とでも案内して頂かないと、判らない…

<九州横断特急>も、車内で「乗車記念カード」を配っている。水戸岡デザイナーのイラストが入った、美しいカードだ…

↓<九州横断特急>、<しんぺい>、<はやとの風>と3枚揃うと、なかなかに好い…


人吉・熊本間では、球磨川の車窓が好いのだが…既に夕刻なので、直ぐに暗くなってしまい、大変残念ながら車窓は然程楽しめなかった…

↓やがて列車は熊本駅に到着する…


熊本…九州屈指の大都市と言える…“政令指定都市”である…大きな建物も見える中に2輛運行の列車が停まっている…

<九州横断特急>は人吉・熊本間と以降の区間では運転方向が変わる。この後、乗って来た時には後尾だった側が先頭になって、熊本から先へ向かう乗客を乗せた<九州横断特急>は街の灯りに向かって去って行った…

旅に出て戻ってみると…歩んだ行程の好さを想い起して懐かしむということの反面…「もう少しここで時間を費やすべきだったのでは?」とか、「このコースを通るべきだったのでは?」というような、“反省以上・後悔未満”とでも呼ぶべきものが込み上がる場合が在る。<九州横断特急>は、今般の旅から戻った後の“反省以上・後悔未満”かもしれない。或いは大分県内から鹿児島への南下コースに<九州横断特急>を採り入れるという選択も在ったかもしれない。またはもう少し早い時間帯に乗車するようにして、もう少し車窓を愉しむ術も在ったかもしれない。更に…初めて訪れた際に熊本城で酷い雨に当たってずぶ濡れになって以来、何処と無く「熊本に冷淡ではないか?」という状態なので、熊本でもう少々ゆっくりすることも出来た筈である…

色々な思いが在るが…<九州横断特急>も、少し興味が在った列車で、乗車が叶って好かった…他方、“次”が在れば、大分県・熊本県のルートを文字どおりに“横断”してみたいとも思う。

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