福岡空港から新千歳空港へ飛ぼうとしていたが、フライトの前夜は催事の関係で福岡の宿泊施設が込み合っていると見受けられたことから、一度訪ねて何となく馴染みの佐賀に宿泊し、午後のフライトに間に合うようにゆっくりと福岡空港を目指す計画を立てた…
そういうことになった時、「佐賀・博多間で面白そうな場所?」と調べ始め、吉野ヶ里遺跡に思い至った。その吉野ヶ里遺跡辺りが公園として整備されていて、公園の催事として早朝に熱気球を上げるというものが、私が佐賀・博多間を移動する予定の日に催されることを知った。
「熱気球を上げる場面を生で視る」という機会は無いので興味津々で催事を訪ね、大変に愉しいひと時を過ごした。カラフルな気球の下に、再現された古代の建築から成る村が見えた。催事の際には「立ち入りは御遠慮願います」ということだったが、「折角ここまで来たから…」と催事後に改めて正面の入口に廻って、中を見学することにしたのだ…
↓因みに熱気球の件は別途纏めたが…
>>吉野ヶ里歴史公園(佐賀県)の<ウィンターバルーンフェスタ>(2013.12.22)
↓ここに再現された建物は存外に数も多く、種類も様々で、本当に「時間を超えて古代の村へやって来た…」ような気分になれる…
この場所は工場団地の開発計画が切っ掛けで埋蔵物調査が行われた結果、広範囲に色々なモノが在ることが判明し、1986年頃から発掘調査が行われていて、色々な発見が在ったようだ…1989年に至って大規模な集落の遺跡が発見され、1990年には史跡に、翌1991年には特別史跡に指定された…
採集、漁撈、狩猟を主体にした暮らしに農耕が入り込み、モノを蓄え易くなり、そうした営みが量的、質的に拡大しながら集落が形成され、集落が拡大して“クニ”というようなものになって行く…吉野ヶ里にはそうした古代人が何世代かに亘って積み上げたプロセスが在り、そして形成された“クニ”の姿を今日に伝えるモノが在るのである…
発掘が完了した遺跡は、博物館の野外展示のようになっていて、他方に発掘されたモノの開設をしている資料展示室も在り、なかなかに見応えが在った。
“クニ”というようなものが形成されていた訳だが…
↓この場所には堀や塀が築かれていたことを伝える遺構も在る…
↑これは形成された“クニ”というようなものが周辺に幾つも在って、互いに相争う場面が在ったことから、「防衛的な施設の建設」が行われていたことを示している。この場所は「古代の城塞」という側面も在った訳だ…所謂“城”の御先祖様ということか…
“クニ”というようなものが形成されると、普通に農耕や採集、漁撈、狩猟に従事している人も在れば、祭祀を司る人や、“首長”というような立場の人やその家族、或いは“首長”を支える立場となる政治家や軍人というような感じの人達など、「様々な階層の人々が暮らす集落」という様相を帯びる。ここには、そうした住んでいたであろう人達の“階層”が推定出来るような発見も多いようだ…
↓広場が在る集落の脇に大振りな建物が在る「城の本丸」を思わせる一画が在り、その傍らに四角く土を盛り上げたモノが見受けられた…
↑これは…墳墓である…所謂“古墳”の起こりのようなものだ…
↓墳墓の盛土が再現され、中は発掘された「墓の中」が視られるようになっている…
↑何か、モノの本に在るような図解の中に足を踏み入れるような、不思議な気分だった…
大きな集落の遺跡が在れば、死者を埋葬した痕跡…墓地が見付かることは必然である。ここでも、大勢の人達が埋葬されていて、遺骨の状態も様々という「一般墓地」とでも言うようなモノも見付かっているようだが、中に入ることが出来るようにして紹介されている墳墓は、“首長”やその一族等、極限られた人達が埋葬されていたと見受けられる状況だったようだ…
↓当時の身分の在った人達は、“甕棺”と呼ばれている大きな甕に入れられて埋葬されたようだ…
↑「墳墓の中」には色々な情報が得られる展示が在ったが、その一つがこの「再現した甕棺」である…
“甕棺”に関しては、他の博物館でも紹介されていたが、こうして「ズバリ!!」とどういう状態か判る展示は無かったので解り易かったのだが…これを視て、寧ろ「人間の身体がスッポリ収まるような大きな甕」を製造する「技術力の高さ」と「労力の集積」に想いが向いた。
私自身、陶芸のようなことをする訳でもないが、焼き物は大きなモノになれば綺麗に完成せずに割れてしまうリスクが高まる。また大きなものを焼き上げる窯を設えることも簡単ではなく、その窯で火力や焼き物を焼き上げる温度を管理するためにはノウハウの蓄積が要るし、労力もなかなかのものの筈だ…逆に言えば、ここを含めて大きな甕棺の痕跡が発見されている場所に在った“クニ”には、「高い技術力」で成し遂げられる、同時に「労力の集積」が不可欠な仕事を、「やりこなせる実力」が備わっていた証左かもしれない…
“城”の御先祖様のような防衛施設を備えた“クニ”…概ね2千年も昔の人々の暮らし…非常に興味深いものが在る場所だった…
↓ゆっくりと一つずつ見れば、相当に時間を要しそうな、広大な敷地に古代の村が再現されている…
吉野ヶ里遺跡については、現在も発掘継続中という個所が残っているという。マダマダ新しい発見が色々と在るのかもしれない…ここも「また訪れてみたい…」と思わせるものが在る場所だ…
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