新宿のありふれた夜(角川文庫)
↑手頃な分量の作品で、素早く、そして非常に愉しく読了した!!
最近の作品である『北帰行』を読了して日が浅いのだが、もしかすると本作は『北帰行』の“原型”のようになっている作品かもしれない…
本作の舞台は1984年頃の新宿である…主人公の郷田克彦は小さなバーの雇われマスターである。歌舞伎町地区の、かなり旧い建物に入っている小さなバーを任されて10年となるが、建物の建て替えに関連して店を閉めることになっていた。その最終営業日となる、6月末の土曜日の出来事が綴られる…
克彦が開店準備に勤しんでいると、不安気な若い女が現れる。彼女は負傷していた。克彦は彼女を店に入れ、傷の応急手当てをし、少し休ませることにした。何か深刻な「訳在り」らしい…彼女はメイリンという名であった…
その頃歌舞伎町では…不穏な空気を漂わせながら、とある暴力団の関係者が走り回っていて、当直になっていた新宿署の大ベテランである軍司刑事はきな臭いものを感じていた…
暴力団が動き回り、不穏な事件を阻止すべく警察が厳重な警戒体制を取る歌舞伎町地区…流浪を続けてきたメイリンに、新宿に沈澱しているような克彦…メイリンの事情を聴く克彦の友人達…凝縮された、スリリングでリアルな展開のドラマだ…
或いは誰の中にも「そこで止まっているある時点」というようなものが在って、そこから先へ踏み出したいような、それが出来ないような逡巡が在るのかもしれない…「踏み出す」ことになる場合、それを促すのは、何らかのイレギュラーなこと…或いは誰かとの出会いが切っ掛けになるのかもしれない…
非常に愉しく読了した!!
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