『宮本武蔵』

かの“本能寺三部作”が非常に面白かったので注目している加藤廣作品が登場した!!


宮本武蔵 上巻


宮本武蔵 下巻

今度は宮本武蔵が主人公である。

宮本武蔵は「高名な剣客」である他方、詳しい伝記的情報が必ずしも豊富でもない人物である。他方、「高名な剣客」であるが故に、様々な創作の題材となっており、虚実入り混じり、寧ろ“虚”ということになる色々なことが伝えられている人物でもある。

本作は妙心寺に居候していた宮本武蔵が、豊前の細川家から招聘を受ける辺りから書き起こされる。かの佐々木小次郎との対戦の起こりである…

本作は、佐々木小次郎との対戦に始まり、宮本武蔵が逝去する辺りまでの、彼の後半生を描く物語である。有名な佐々木小次郎との対決が、「加藤廣の流儀」で大変興味深く描かれ、更にその後の歩みが「“悲運な天才”(?)の生涯」として綴られているのだ…

宮本武蔵と佐々木小次郎との対戦が組まれた“裏事情”は?そして対戦そのものの推移は?是非本作を紐解いて頂きたい…

その佐々木小次郎との対戦の部分も非常に好いのだが、本作の佳さは「“悲運な天才”(?)の生涯」というようなものが綴られている部分である。“剣客”としての技能が、必ずしも高く評価される訳でもなくなった時代に、色々な出会いや別れが繰り返される中、彼なりの“求道”が在る…これがなかなかに興味深い…

或いは…戦後の復興、高度成長、更にバブルなど「世の中の動きの中に身を置いて…」という色々な物語を聞いているものの、それとは直接関る訳でもなく生きていて、自身の技能に関してどの位の評価を受けているのかも判然とせずというような…そういう「その他大勢…」な人々に贈られた物語が本作なのかもしれない…“武蔵”程の“天才”も「悩み多き人生」を歩んでいたのだから…

“裏事情”(?)が絡まる佐々木小次郎との対決という冒頭部で引き込まれ、そのまま夢中で読了してしまった…非常に読み易かった…

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