映画『黒い家』

過日、読書好きな知人と話した。「映像作品と原案の小説」、或いは「原案の小説と映像作品」というようなことである。

概して、「原案の小説を読んだ後に映像作品を観る」ということをすると、小説で詳細に描き込まれていたことが削られ過ぎて幻滅したり、映像作品に登場する作中人物に関して、思い描いた風貌や声と大きくかけ離れていて違和感を感じるということが時々在るという話しになった…

↓この作品に関しては、小説で描き込まれた事柄が適度に整理されていて、登場する作中人物達は、小説の描写を通り越して「これ以外に考え悪い」という程度にビッタリと嵌っている…



黒い家 【DVD】

↑或いは「映像ならでは」の「画面で見せる」、「音と画」の演出で、原案の小説を巧みに昇華させているのかもしれない。なかなかに見応えが在った!!

本作の主人公は内野聖陽が演じる保険会社の社員なのだが、映画を観ると、寧ろ「この人間、こころがない…」というキャッチフレーズのネタになった「問題の女」を演じた大竹しのぶが「主役を食う」凄まじい存在感を示している…それ以外の各キャストも、なかなかに好い俳優陣が出演している。

原案の小説では京都が主な舞台で、事案の調査に動く主人公が訪ねるのが大阪府下や和歌山県内なのだが…映画は金沢が主な舞台で、事案の調査に動く主人公が訪ねるのが新湊辺りとなっている。これは「ロケ協力」か何かの都合であろう…或いは、本作が「あなたの街の片隅にも…」という「身近に潜む禍々しいものが、何時の間にかとんでもないことに…」というようなことをテーマにしていて、或る程度“普遍化”可能であるから、こういう種類の変更も可能だったのかもしれない…実際…韓国でこれを翻案した映画も作られたそうだ…

主人公の若槻は、大手生命保険会社の北陸支社で、保険金の支払いに関係する事務等を扱っている社員である。不審な照会電話を受けた後に、少年の首吊り死体の“発見者”ということになり、そこから怪異なまでに恐ろしい目に遭うというように、ストーリーは原案の通りだが…“作家”としての監督の鮮やかな演出で、濃密に物語が展開する。

原案の小説を読んでからこの映画の存在を知り、DVDをレンタルした時、偶々知人にその話しをした。すると知人は「あれは凄い!!大竹しのぶの“あの役”がとにかく凄い!!」と話してくれた。全くそのとおりだった…

とにかくも興味津々で観たが…決して後悔しなかった…

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