『黒いユニコーン』

『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』の文庫本は“角川文庫”と“角川スニーカー文庫”の2種類が在る。両者は表紙のイラストなど、一寸感じが違う…後者の方は、多少の挿絵が入っていたり、最初の方に作中人物のことや登場メカの設定等の説明が入っている。そういう違いは在るが、本文は全く同じである…(両者の本文が違うと、一寸妙だが…)

実は…“角川文庫”の方でこのシリーズを入手し始めたのだが…第6巻まで揃えた後、第8巻から第10巻を入手していて、第7巻を入手し損なっていた…「深刻な手違い」である…だからと言って、どうということもないのだが…多少慌てた…

という訳で、近所の書店を何となく覗き…“角川スニーカー文庫”の方で第7巻が在った。“角川文庫”で揃えたいというような気もしたが…「早く続き!!」という気持ちが強く、その“角川スニーカー文庫”の方を入手した。

↓とにかく読みたかった第7巻…非常に愉しく読了した…



黒いユニコーン 機動戦士ガンダムUC7


作品の最初の方で、モビルスーツ<ユニコーン>について、「地球で、重力下運用の試験中」ということになっている“2号機”の存在がさりげなく示唆されていたのだが…いよいよそれが現れる!!<ユニコーン>と同じ形状ながら、外装は黒で<バンシィ>と名付けられている…

<バンシィ>は<ユニコーン>を拿捕してしまう。<バンシィ>は、宇宙艦<ラー・カイラム>に搭載されている。例によってビスト財団の横槍である…<ラー・カイラム>には、アルベルト、その叔母で“当主代行”のマーサらビスト財団の面々、オードリー、<ユニコーン>に乗っていたバナージが顔を揃える…

宇宙艦<ラー・カイラム>は、豪州の連邦軍施設、トリントン基地へ向かう。“辺境”という感の目立たない基地から、ビスト財団の面々は宇宙へ帰還することを目論んでいるようだが、その手段がよく判らない…

<ユニコーン>と別れた工作船<ガランシェール>では、重要機密「ラプラスの箱」に通じるという<ユニコーン>を奪い返すこと、更にビスト財団に連れ去られた“オードリー”やマリーダを取り戻すことを目論む。ダカールの変事を受け、取締りが強化されそうな情勢になってきたことをから、隠し持っている武器を棄てて逃げ出そうとしている各地の旧ジオン軍系勢力に向けて、<ガランシェール>は協力を呼び掛ける…

というような次第だが…この7巻は、実際の時間にして然程長いとも思えない時間―読んだ感じでは1日だ…―の出来事が、濃密に、同時にテンポ良く描かれ、かなり引き摺りこまれる…更に、非常にスリリングな展開になっている…

<ラー・カイラム>が滞在するトリントン基地で戦闘が発生するのだが、その場面がなかなか面白い。旧ジオン軍系勢力が旧いモビルスーツで登場する…更に…脱出を図るビスト財団の面々を追う<ユニコーン>の戦いが好い…奪われたオードリーやマリーダを取り戻すべく、大空での熱闘が繰り広げられる…

この第7巻では…ビスト財団の男、アルベルトと、<ラー・カイラム>に乗務した連邦軍パイロットのリディが各々“キーパーソン”になっているような気がした…

この『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』を読み始めて間もなく、「“ガンダム”というのはは“こういう感じ”だよな…」と何となく納得出来てしまう展開で、流石に「同世代の“ガンダム”ファン」でもある作者の手になるものだと感心していたが、この第7巻辺りになると、各々の出自や立場や能力の中で劇中人物達が「積み上げているもの」や、物語の展開を受けての“変化”が精緻に描き込まれていて、読む側に迫って来るのを自覚せざるを得ない。正しく「独自に新しいSF大河ドラマという感じで世に問う」という“立ち位置”で送り出されているような作品だ。

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