『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版』

一つ興味深い作品に出遭うと、“関連作品”に眼が向くというのはよく在ることのように思う。

過日『装甲騎兵ボトムズ』のテレビシリーズのDVDを愉しんだのだが、この作品には根強い、同時に熱いファンも在ることから、「後年になって制作された作品」が幾つも在る。

そういう「後年になって」の一つに『ペールゼンファイルズ』が在る…

『ペールゼンファイルズ』は6本のDVDに収められたシリーズであるが、それの内容を編集、更に一部映像を新規に制作した「劇場版」というものが在る。

「劇場版」は2009年1月に公開されたそうだ…

↓残念ながら劇場(=映画館)で観る機会を設けることは叶わなかった…と言うよりも、作品が在ったことを最近になって知った…

装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 劇場版(UMD)
↑2時間弱に纏まった内容で、非常に愉しく観ることが出来た。

過日愉しんだ『装甲騎兵ボトムズ』のテレビシリーズから『ペールゼンファイルズ』(劇場版)までの間には四半世紀(25年間)という時間が在る。映像を創る技術は格段に進んでいる。「進み過ぎ?」とも思える程だ…が、この『ペールゼンファイルズ』(劇場版)はそうした「進んだ」モノが好い具合に活かされていると思う。

『装甲騎兵ボトムズ』には“AT”という独特なメカが登場する。作品には「“AT”という架空兵器が在る世界」の“戦記ドラマ”という側面が在る。『ペールゼンファイルズ』(劇場版)は“3DCG”というような最近の技術を駆使して“AT”のシーンを創っているのだが、これにより熱いファンが思い描く「あの世界の戦闘」を描くことに、見事に成功しているように思う。

が…それでもなお本作は「戦乱の不穏な空気が漂う世界で展開される、独特なメカアクションを交えた、SFサスペンスドラマ」という軸はぶれていないと思う。

テレビシリーズで、主人公のキリコは“レッドショルダー”と呼ばれる、その苛烈な戦い振りで悪名高い特務連隊でAT搭乗員をしていた経歴を持っていたことに言及が在る。本作では、キリコがその部隊を離れた後のこと、恐らくは「テレビシリーズでの物語の少し前」と見受けられる時期が描かれる。

『ペールゼンファイルズ』(劇場版)は、2つの視点から物語が紡がれる。一方は、“レッドショルダー”と呼ばれる特務連隊の創設に携わっていたという、統括責任者であったらしいペールゼン大佐と、彼の身柄を押さえ、彼の密かな研究に感心を寄せる“情報省”の高官の目線…他方は、過酷な戦場を駆け回るキリコと、彼と行動を共にすることになった兵士達の目線である…

キリコは、大河の川辺に設けられている敵拠点への強襲上陸作戦に参加するが、苛烈な戦闘で友軍の殆どが損なわれた中、生存することが出来た。負傷して弱っていたが、彼は別な戦線の補充員ということになり、新たな基地に送り込まれた…

新たな基地で編成された5人のAT搭乗員から成る分隊にキリコは加わることになった…

分隊長のバーコフ…多少学が在るように見える―終盤に、自分は“気象情報分析官”をやっていたことが在ると分隊の仲間達に明かしている…―ベテランの兵士で、やや変わった者が集まった分隊を何とか纏めている…

ゴラン…如何にも「過酷な戦場を渡り歩いた」という雰囲気の荒くれ者風な兵士である…途中のエピソードで、「何をしてでも生き残る」ということを繰り返していて、一部に“死神”と仇名され、私怨を買っている男であることが判る…

コチャック…「自分は技術者であり、戦闘を行う分隊に加わるような筋合いではない」と主張する、臆病者な印象を与える男である。搭乗員としての技量は低く、分隊の足を引っ張る場面が在る…他方、技術者である彼の知識が窮地を救う場面も在った…

ザキ…未だ少年である…新兵なのだが、どうしたものか、全くの初対面であるキリコに対して“殺意”を有している。近くに居合わせた、前任地での負傷から未だ完全に回復していない男がキリコで在ることを知り、ナイフを手に襲い掛かったという騒動を起こす場面が在った…謎の少年兵だ…

キリコ達の動きに対して…ペールゼンと、彼の身柄を押さえ、彼の密かな研究に感心を寄せる“情報省”の高官である…

作品の冒頭で、ペールゼンは憲兵に連行され、やがて軍事法廷に引き出される。軍事法廷では特務連隊“レッドショルダー”の基地で兵士の反乱事件が発生していて、死傷者も発生し、酷い破壊が行われた件が取上げられ、検事がペールゼンを追求しようとするが、ペールゼンは傲然と沈黙を護る。そこに情報相の高官が現れ、裁判を「無期延期または中止」ということにしてしまい、ペールゼンを連れ去る…

情報相の高官は、ペールゼン自身が「私の個人メモ」と称しているファイルを持っていた。これが本作の題名になっている“ペールゼンファイルズ”である…

ペールゼンはキリコを「類稀なる特異な存在」であると考えていて、それを研究していた。そしてその研究を突き進める構想を有していた。ファイルからそれを読み取った高官は、彼が構想した“実験”を自分達の力で突き進めようとしていたのだ…

「未見の方の愉しみを妨げない」という意味で、これ以上の仔細にはここで言及しない…バーコフ分隊の戦いと、その陰に在るペールゼンの目線や情報省高官の妙な思惑…正しく「サスペンス」だ…

一度観て、“謎”に関する部分が判ってしまっても、「バーコフ分隊の戦い」を描いた画が素晴らしく、DVDを思わず繰り返して観てしまう…本作にはそんな魅力も在る…

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