↓これだ!!

東直己/フリージア ハルキ文庫
“榊原健三”のシリーズの第1作である。このシリーズについては、第2作、第3作を既に読んでいた。第2作、第3作の中で、第1作で描かれた事件に関する言及が多少出て来る訳だが、今回第1作を読んだことで、その内容を詳しく知ることが出来た訳だ。
第1作で在る『フリージア』に関して、“一発”の作品で“シリーズ”という具合にはなり難いという意見の評者の意見が在る。それは肯ける面も在るのだが、東直己はこの作品をシリーズとしてしまった。
榊原健三は、嘗て札幌のヤクザの抗争で大暴れした“始末屋”だったが、現在はその世界を離れている。本作冒頭は、そんな榊原健三をヤクザ時代に縁が在った兄貴分が訪ねている場面から始まる。榊原健三を訪ねた男は、或る女の写真を示すが、それを視た榊原健三は男を殺害してしまう…
榊原健三は、愛していた多恵子と共にヤクザの世界と縁を切った。多恵子とは別れた。多恵子は会社員と結婚し、息子が生まれて普通に暮らしていたが、夫の転勤で札幌に住むこととなったのである。嘗ての兄貴分は、その多恵子の安全を担保に、榊原健三に協力を迫り、彼は激怒したのであった…
榊原健三は、多恵子の存在を知っていて、それをネタに榊原健三に近付く可能性が在る者達を抹殺することを決意した。日頃は“林”と名乗って山小屋に住み、民芸品店に木彫を納めて暮らしているのだが、彼は札幌へ向かった。
札幌では、北海道進出を目論む“関西資本”がそれと結び付くことを考えている勢力の手引きで乗り込んで来ていて、不穏な情勢であった。榊原健三はそこで「多恵子の件を知る者達」を探り、一人での戦いを展開する…
榊原健三は“ワンマンアーミー”というような凄まじい強さである…が、戦いの後には不調も来たし、また関りを持ったために不幸にして命を落とした人達を悼む…そんな彼は、多恵子自身と、多恵子が最も大切にしている息子を護ることに命を賭ける…
確かに本作は「“一発”の作品」という感じだが、「多恵子の息子」が登場したことで、何か「“息子”を見守り続け、変事が在れば命を賭ける」という“榊原健三”という“ヒーロー”が創造されてしまった…と作者は考えて第2作、第3作が登場したのかもしれない。第2作では小学校低学年の、第3作では中学生の“息子”が登場し、“ワンマンアーミー”な強さを持ちながらも「子連れ」というハンデを負うことになる。更に、加齢による衰えも加わるのだ…
いずれにしても、『フリージア』は面白かった!!
この記事へのコメント
玄柊
旭川も雨になったり晴れたりと中途半端、路面は凍っています。
1月4日から21日まで「詩歌逍遥」と題した書画展を置こうなうことが決定しました。もし可能ならば旭川のお寄りいただき、また、例の場所で一杯・・・と考えています。どうぞ一考を!
DJ Charlie
東直己作品の劇中世界は、ススキノなど札幌市内や道内をモデルにしていますから、北海道民は“土地勘”が在って、より一層愉しいという面が在ると思います。色々と“シリーズ”になってはいますが、どの作品から開いても愉しんで頂けると思います。拙作ブログの記事が“ガイド役”にでもなれば、非常に幸いです。
作品展!!その日程なら、「1月最初の3連休」(自ずと土曜日ですね…)に旭川に寄るのが好いかもしれません。時期が近くなったら連絡を取りましょう!!恐らく、現在は展示の準備に勤しんでおられるものと想像します…