『契約』

ラーシュ・ケプレルによる、スウェーデン国家警察のヨーナ・リンナ警部が活躍するシリーズの第2作が登場した。


契約 上


契約 下

前作は、催眠療法を手掛けた経過の在る医師が作品の中でかなり大きな位置を占め、ヨーナ・リンナ警部の影がやや薄いようなイメージも在った…が、今作はリンナ警部が大活躍する展開である…

スウェーデンには、軍需品の輸出を管理する“戦略製品査察庁”という官庁が在る。そこの長官が自宅で遺体となって発見された。自殺のようだった…

他方、ストックホルム沖の群島部に漂泊していたクルーザーから、女性の遺体が発見された。船内で乾燥した状態で発見された遺体ながら、死因は“水死”という、些か不可解な状態だった。船内に在った身分証明書から、軍需品を扱う産業に対して、密かに紛争地域への武器輸出をしているなどと批判的な言辞を浴びせていた、平和活動家のペネロペ・フェルナンデスが死亡と当初は推定されたが、実は出発直前になって急にクルージングに同行した彼女の妹が死亡したのだった…

リンナ警部は2つの事件に大きな関心を寄せ、調査に着手する。が、死亡したと思われたペネロペ・フェルナンデスのアパートを訪ねると、先に現場に居た暴漢に突然襲われ、思わぬ手強さを見せる相手を“プロ”と見たリンナ警部は事件に益々強い関心を寄せる…

やがて、戦略製品査察庁長官の自殺と、クルーザーで女性の遺体が発見されたという2つの事件は思わぬ結び付きを見せ始める…

本作のタイトルとなっている“契約”…その意味が明かされるのは下巻の半ば以降だが…本作は次々と色々な出来事が起こり、読み始めると停まらなくなってしまう…

冒頭の方に「戦略製品査察庁長官の自殺」というような一件が出て来て、“戦略製品査察庁”という官庁は軍需品の輸出を管理する旨の説明が在るので、或いはそういう分野の不正が絡む何かが在ることは想像出来るのだが…それでも“続き”が非常に気になる物語になっている…

“黒幕”の意向を受けて暗躍する“プロ”―これが恐ろしい相手である…文字どおり、手段を選ばずに目的を遂行しようとする連中である…―と、彼らに負われるペネロペ達や、警察側との戦いは息詰まるものが在る…当初は多少反目しながらも、結局は助け合って事件の真相を解き明かし、“黒幕”を追い詰める警察側のドラマも面白い…

前作の『催眠』を読んで「映画的」と思ったが、本作はそれ以上に「映画的」かもしれない…

これはかなり愉しい作品だ!!

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