『熾火』(おきび)

読了した小説の巻末に在る“解説”に他の作品への言及が在る場合が見受けられる。そういうものに触れると、言及されている作品に強い興味を覚える場合も在る…

↓そういうことで入手した一冊であるが、大変愉しく読了した…

熾火
↑かなり夢中になり、朝、昼、夕、夜、朝と“読書タイム”を設けて読み進んでしまったのだった…或いは、思わずそうしてしまうものが在った…

本作は、「ススキノの便利屋」こと“俺”が活躍するシリーズの東直己の作品である。

本作の主人公は畝原浩一という。元記者で、現在は探偵業であり、娘と2人暮らしだ。

“畝原探偵”が活躍する作品だが、これもシリーズになっているという。本作は長編4作目ということだが、いきなり本作から読んでも、かなり愉しむことが出来る。

物語の舞台は札幌である…実在の地名と、架空の地名が混じっているが…

畝原は請け負った仕事をこなすため、地階がライブハウスになっているビルを訪ね、用件が無事に終わってビルの前で依頼人達と立ち話をしていた。そこへ、急に異様―血塗れだった…―な小さな少女が足下に現れ、脚に絡み付いた…畝原は愕き、救急車を呼んでその少女を助けた…

翌朝になって友人の女性、姉川明美から連絡を受けた。姉川はNPOの役員で、畝原が助けた少女のケアをする仕事を請けたようだった。少女が収容された病院で、畝原は姉川と会う約束をした…

ということで、恐るべき事態が起こり、とんでもない児童虐待という事件や、不正を隠し通そうとする警察の動きなどが絡まり、物語はアップテンポに展開する…

本作は、畝原の一人称の語りと、他の劇中人物達とのやり取りという文体で、雰囲気は多少“俺”が活躍するシリーズに似ている…“俺”は、やや古臭い言い方だが、「風来坊」という感じである…畝原はもっと真面目で、娘との暮らしを大切にしていて、姉川との関係も真面目だ…

本作には、“俺”のシリーズの『駆けてきた少女』に出て来る、警察の不正を暴こうとしていた動きの関係や、あの作品に高校生として登場した劇中人物の「その後」が出て来る…それも面白い…

とにかくも、なかなかに愉しいシリーズにまた出逢った!!

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック