『バーにかかってきた電話』

「或る程度馴染みな地域を舞台にした物語」というのは、それだけでお楽しみが多少増える場合も在る。勿論、それは決定的であるとまでは言えないことでもあるのだが…

私にとって“札幌”は少年時代に長く住んでいた「育った街」ということになり、何時の間にか離れてから久しくなってしまってはいるのだが、今でも年に何度か立寄る場所である。

↓その“札幌”が舞台となっているミステリーに出逢った…

バーにかかってきた電話
↑「“札幌”が舞台だから愉しい」ということに止まらない作品だ。なかなか軽妙な物語がなかなかに好い!!

これは「警察モノ」ではない。「若干はみ出し者」な主人公が“事件”に関っていくというスタイルの作品である…

主人公の“俺”(名前は出てこない…)は、自称「ススキノの便利屋」である。何時も寄るバーに電話を貰えば連絡が着き、仕事の料金は指定口座に送金してもらうことにしている…何かで出逢った人には、そのバーのマッチを渡し、場合によっては指定口座を伝えるというようにするのが“俺”の流儀ということになる…

作品は、終始“俺”の一人称で綴られている。読者は、“俺”の冒険を読み進めながら追体験出来るような形式である。これが意外に愉しい!!

“俺”が何時ものバーに行くと電話が入った。先方は“コンドウキョウコ”を名乗る女性だ。名前に覚えはなく、電話の向こうの声や話し方に該当する人物も思い当たらない…先方は既に指定口座に金も送ったので、仕事を引き受けて欲しいと言う。

女性が頼む仕事というのは「ある会社を訪ね、そこの社長にある話しをして、その反応を見て、また電話をした時に報告して欲しい」という、やや要領を得ないものであったが、“俺”はそれを引き受けた…その引き受けた仕事に着手してみると…なかなかに怖い事件が待っていた…

ススキノで、博打をやって日銭を稼いで暮らす風来坊である“俺”だが、色々と知恵を使って、関ってしまった事件の謎を解き明かしていく…若干、コメディー調な味付けも感じられるのだが、内容的にはなかなかにハードかもしれない…

この作品の単行本は1993年に出ている。ということで、作品世界は1980年代後半から1990年代初めな雰囲気であり、「一寸だけ懐かしい…」ような感じもする。なかなかに気に入った!!

近く、この作品を原案とする映画も登場するらしい。そちらも愉しいかもしれない…

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