
五番目の女 上

五番目の女 下
第6作は、第5作で描かれた夏の始まりの時季と同じ年の秋が深まる辺りの物語となっている。
恐るべき連続殺人犯を追うこととなった『目くらましの道』の事件の後、ヴァランダーは休暇を取るなどするのだが、『目くらましの道』のエピローグで彼は父と共に一週間のイタリア旅行に出掛けていた。本作『五番目の女』では、イタリア旅行から戻ったヴァランダー警部が、父親と少し心が通うようになったと感じながら、また日常の業務に戻っていくという辺りから始まる…
ヴァランダー警部が休暇明けで最初に関ったのは「花屋の不法侵入」という一件であった。何者かが押し入った形跡が在ると、花屋の従業員から通報が在ったのだ。花屋の店主は旅行中であるということだが、花屋では特段に盗まれたものは無かったという。ヴァランダーは、「寧ろ保険会社が調査する案件か?」と思っていた。
更に、ヴァランダー警部は灯油―作中では“燃料オイル”と表現されているが、暖房用燃料であれば、“灯油”と言う方が座りが良いように思う…―の配達でタンクローリーに乗っている男の申し出を受ける。時々寄っている、旧い屋敷に住む一人暮らしの老人が、どうやら失踪してしまったらしいというのである。
ヴァランダー警部は、件の老人の屋敷を調べに出掛けた。自動車販売業を営んで財を成したという人物で、結婚歴は無く、熱心にバードウォッチングをしていて、詩を書くという老人である。屋敷の鍵が開いているので入ってみれば、コーヒーメーカーのコーヒーが煮詰まって焦げ付いているような状況で、明らかに「普通に出掛けた」とは思えなかった。そしてヴァランダー警部は敷地内を歩き回り、トンでもないものを視付けた。老人が、濠に据えられた竹槍に串刺し状態になって死んでいたのだ…
“串刺し”という異常な遺体の発見から、ヴァランダー警部らイースタ署の面々は殺人事件の捜査に取り掛かる。雨勝ちで霧の深いスコーネ地方で、刑事達は事件を追うのだが、恐るべき第2・第3の犯行も発生してしまう…
今作では、地域で“自警団”なるものが結成され、一寸した騒動が起こってしまう場面も在る…
相変わらず、人間くさいヴァランダー警部や署の仲間達が織り成す物語が面白い…そして今作は、“やや意外な犯人”との、迫真の対決場面も在る…
このシリーズは非常に愉しい!!
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