以前に、神戸を本拠に明治期から大正時代に大躍進を遂げ、昭和初期の倒産に至るまで、伝説的な挿話を多く残している“鈴木商店”を題材にした作品『お家さん』を読了した。
↓その“鈴木商店”を題材にした作品である…
鼠 鈴木商店焼打ち事件
『お家さん』は“鈴木商店”のオーナーであった鈴木よねを主人公に据えた作品であったが、『鼠 鈴木商店焼打ち事件』は同社を牽引した人物として知られる金子直吉を主人公に据え、同時に筆者の“私”の目線で綴られる部分も非常に多い。
“鈴木商店”は“米騒動”の最中、「本社が焼き討ちに遭う」という酷い事態を経験している…本作の前半は、この“焼き討ち”という事態に至るまでの様々な事情を詳細に検討することに充てられている。大正時代の出来事ながら、「不確実な扇情的情報と群集心理」というようなものの“怖さ”がじわじわと伝わる…
この「“焼き討ち”検証」の部分では“私”目線が前面に押し出された感となっている。以降は、倒産に至るまでの“鈴木商店”の物語が、金子直吉を軸に綴られる…
本作の“鼠”というタイトルだが…これは金子直吉が俳句を認めた際の号に因むものであると思う。「金子直吉の物語」という意味合いを帯びさせようとしたように思う…
或いは神戸や、神戸を本拠に活動した鈴木商店というものは、明治期から大正時代、昭和の初め頃までの所謂「日本の近代化」を象徴するような存在なのかもしれない。この神戸や鈴木商店に関する題材を扱ったものに関しては、これからも関心を抱き続けることになるかもしれない…
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