“チェーホフ”は「超有名作家」と言って差し支えないとは思うが、と言ってその名を頻繁に耳にするでもない…そうした意味で、彼の名が「普通のニュース・情報番組」取上げられたのは興味深かった…
更に言えば…番組中で「日本人研究者」と紹介され、特に氏名は出ていなかった方―回りくどく紹介したが、友人である…―が登場したが、実は彼から「金曜日の夕刻に…」という情報を得ていた故に番組を拝見したのであったが…
日本では、街の通の呼称、乗物関係の呼称、施設の呼称に“人名”を殆ど用いないと思う。例えば、砕氷艦の<しらせ>でさえも、1910年の南極探検を行った白瀬中尉に因む命名であることは明白ながら、公式的には「南極の“白瀬氷河”に因んだ命名」という話しにしている程だ…何故なのかはよく判らない…
これに対して諸外国では、街の通の呼称、乗物関係の呼称、施設の呼称に“人名”を用いるのは然程珍しいことではない。色々な国で「“人名”センター」というような呼称の施設を見聞しているし、列車を利用した欧州諸国では、詳しく時刻表を確認すると列車に運行地域に少々縁が在った文化人の愛称が冠せられたりしていたものだ。物騒な話しだが、何処かの国ではミサイルに大統領の名前を冠しているものまで在った記憶が…
ということで、ロシアやサハリンもこういう事例に漏れないと思う。過日訪ねたばかりのサハリンでも、幾つかの“人名”に出逢った…
日本では、かの<しらせ>でさえも公式的には「“人名”ではない」としているのだが、サハリンの港で見受けられるロシアの船では、“人名”は珍しくはない。
コルサコフ港でフェリーの乗降りをする辺りに、港内に停泊中の船を見回していると<イーゴリ・ファルフトディーノフ>という貨客船を視掛けることが在る。これは先々代の州知事の名で在る。
ファルフトディーノフ知事は、その手腕が高く評価されていて、中央政界との繋がりも強く、「遠くない将来には要職に抜擢?」という噂さえ在ったようだったが、残念ながら航空事故で他界した…彼の事績を偲び、サハリンの海で活躍する船にその名を与えたのである…
巨大な“大陸国”であるロシアでは、“サハリン州”というものを他地域に向けて語る際、「島々から成る州」という表現を好んで用いる…とりあえず「州の領域が全て島嶼」なのは、数多いロシアの連邦構成体の中では他に例が無い。そうした意味で、ファルフトディーノフ知事を顕彰する意味で、船にその名を与えるというのは粋なことかもしれない…
因みに…最近読了した『エネルギー』という小説に、ファルフトディーノフ知事が実名で、“劇中人物”として登場している…
ロシアやサハリンで、上述の例のような場合以外に、“人名”は何か「○周年」に因んで現れる傾向も在るのかもしれない…
1970年…この年はレーニンの生誕100年だったようだ…この辺りの時代に建設されたらしいアパートの壁面には、それに関係した大壁画が見受けられた…
レーニンに関しては、“ソ連時代”にはサハリンに限定せず、方々に溢れていた面は在ったかもしれない…これもサハリン限定ではないと思うが、“ソ連時代”に「現れて、そして影が薄められた」という“人名”も在る。スターリンである…
実は偶々、サハリンの少し旧い写真が載った本を拝見する機会が在ったのだが…今日のユジノサハリンスクの“コムニスチーチェスキー・プロスペクト”は、ソ連が統治し始めた当初は“スターリン通”と呼ばれたらしい…最近まで知らなかった…
今年…チェーホフは生誕150年だ…そして「サハリンでチェーホフが殊更に敬愛されている」ような気にさせてくれる、『サハリン島』の取材を行った旅から120年である…しかし…“チェーホフ”に関しては、既に方々に名前が在るので、新規に登場する何かは無い様子だ…
それでも「○周年」は重んじられ、サハリンでチェーホフに関するシンポジウムが催され、冒頭に触れた友人もそれに足を運んだようだ…
チェーホフのシンポジウムは、ユジノサハリンスクで催された…ユジノサハリンスクでは「1882年の“ウラジミロフカ村”の開村」を「街の起こり」と考えている…今日の街の中心部は、寧ろ“豊原”である…“ウラジミロフカ”という村は、現在のユジノサハリンスク都心よりも北西寄りの辺りだったようだ…
1890年に綿密な取材をしたチェーホフ…『サハリン島』の中で“ウラジミロフカ”にも言及している…当時は「46戸、91人(男性55、女性36)」という村で、「牛100頭以上、馬40頭」という農村だったようだ。今日では18万の都市だが…
ところで…以前は『サハリン島』はやや入手困難だった…
しかし、ベストセラー小説で言及が在って話題になったことから、本が再販になった!!
↓一寸御紹介しておく…
サハリン島
因みに…昨年はこの『サハリン島』をネタにした芝居をサハリンで大変興味深く鑑賞したのだった…
この記事へのコメント
玄柊
「サハリン島」は、村上春樹の「1Q84]でも取り上げられましたが、面白い現象ですね。
DJ Charlie
『サハリン島』はやや読み悪い面も否定出来ないのかもしれませんが、なかなか多彩な内容が綴られていて興味深いです。
ところで…春にはサハリンを訪ねられますか?フェリーの運航時期なら、港でお見送り出来ますが…