9月15日(水)
酒というものは、「些かのカロリーが在る麻酔薬」のようなものである…ヴィターリーさん達とウォッカを少々頂いた…そのためか、ホテルに着いてから即座に横になって寝入ってしまった…
そういうことをすると…未だ暗い、早朝と深夜の狭間のような、妙な時間帯に目を醒ましてしまう…
テレビを点ける…何処でやっているのか、“生中継”でアイスホッケーの試合が流れている。
ロシア国内は時差が在る訳だから、サハリンの早朝に「プロスポーツの試合をやっている夕方から夜」の時間帯になっている場所も多々在る訳だ…
最近のロシアのアイスホッケー…КХЛ(コンチネンターリナヤ・ホケイナヤ・リーガ)(“カー・ハー・エル”)と言うらしい…昨日もニュース番組のスポーツコーナーで試合結果を紹介していたのを視たが…1993-94シーズンにモスクワで視た“スパルターク”、“ツェスカ(CSKA)”、“サラバト・ユラーエフ”等、記憶に在るチーム名も散見したが、知らない名前が妙に多かった…
テレビ中継でアイスホッケーのリンクを視ると…どうしても1993-94シーズン辺りと比べてしまうのだが、場内に広告が多々掲示されている様子に愕く…あの頃はもっと地味だった…
現在は「氷に浮かぶようなスタイル」(アイスホッケーのセンターやアイシングのラインを造るのと同じ方式で広告を埋め込むのであろう…)のモノまで多々見受けられる…厳つい面を着けたキーパーが護るゴールの後ろに“何とかバンク”と金融機関らしい広告、アイシングのライン手前に“メガフォン”という携帯電話会社のマーク…何か凄い…リンクの壁には、ロシア国内外の色々な企業の広告がビッシリだ…“ガスプロム・バンク”(かの天然ガスのガスプロムが出資している金融機関であろう…)などとロシアらしいものも在るが、“ペプシ”とか“ニコン”と日本でも馴染みのモノも見受けられる…
試合そのものよりも、場内の様子に注目という妙なことをしていた間に試合は終わってしまった…妙な時間の過し方をしたものだ…
時間を持余し気味になってしまった早朝…と言えば散歩が好い…レーニン通からコムニスチーチェスキー通にかけて、少々歩き、博物館の建物が見える辺りまで歩いてみた…半袖Tシャツの上にデニムのジャケットという出で立ちで戸外に出たが、その程度が丁度良いような外気の感じであった…
朝6時台は、稚内の朝4時台と似たような明るさ…或いは暗さである…未だかなり静かで、街は「眠い目をこすっている」ような感じである…
その薄暗い中、州政府本庁舎のライトアップが妙に煌々と輝いていた…
やがて…7時近くともなれば、昨日の“ゴールヌィー・ヴォズドゥフ”の側(=東側)の空が暁色に輝き始めた…そして車輌の通行量が増え始める…
今の時季のユジノサハリンスクだが、何となく「日の出と共に街も目覚める」という趣が在る…これからの時季は、加速度的に日の出が遅めになり、他方で日没は早めになる…ロシアで採用されている“サマータイム”を切り替える10月下旬ともなれば、夜明けが妙に遅い、少々不思議な雰囲気になっていく…
コムニスチーチェスキー通というのは、鉄道駅の辺りから東側に延びる大通りである。この通の辺りは、文化施設や官公署、オフィスのビルが比較的多い…人の気配が無い映画館や劇場の建物も在れば、既に述べたライトアップの眩しい州政府の本庁舎、裁判所やらロシア銀行(通貨を発行する中央銀行)のサハリン州支店やら、“サヒンセンター”という大柄なビジネスビルやら、大学の校舎に利用されているビル、そして博物館が在るのである…
人の気配が無い劇場の辺りで足を止めた…未だ本格的に今年(この秋・冬)の“シーズン”ではないので、“近日上演”の掲示には何も無かったのだが…「チェーホフ生誕150年」の懸垂幕が建物の左側に在り、右側には「企画公演」の懸垂幕が在った…
「企画公演」…9月末に札幌の劇団がやって来るという…そして11月には、かの<A.P.チェーホフ記念モスクワ藝術座>(МХАТ)(ムハート)がやって来る!!これは凄い!!
そんなものを眺めながらの一時であった…蒼空が輝きを増し始め、通を行き交う車輌も益々増える…大型の路線バスが通るのを視ると、通勤・通学と思しき人などが存外多く乗っている様子も見え始めた…そんな様子を見ながら、ホテルでゆったりと朝食を愉しんだ…
今日もまた、「秋の風情の朝…夏の面影の日中…」という按配で、日が高くなるとやや暑くなった…「夏の装い」という風情の人も多く見掛けたが、他方で風が少々爽やかに感じられ、キツい按配でも無かった…
用事を足した際、また市内路線バスを利用した…
訪ねる場所は、覚えている“つもり”という状態で、場合によっては「反対側にかなり歩いてしまってから、“どうなっている?!”と苛立った辺りで間違いに気付く」というのをやらかすことが危惧された…また“訪問”、“待合せ”に際しては「遅れるよりは“一寸早く着いて…”とその辺で一服という方が良い」という考えも在るので、早めに出掛けた…が、危惧は杞憂に終始した…拍子抜けする程簡単に目的地に辿り着いた…
とりあえず滞りなく用事を足すことが叶い、大変に安堵した。先方の好意で、訪問先からホテルへ車で送って頂いた…大感謝である…
ホテルの近くの、一寸気になっていた店で昼食を愉しんだ。“お奨め”の品の看板を造って、店の前に出している…頻繁に看板を視ていたので、中を見たかった…食事を所望すると、“カフェテリア”になっている部分に通された…私が入らなかった方は、多分カフェになっているのだろう…
カフェテリアでは“プロフ”と称する中央アジア起源の、羊肉が入った炊込み御飯とスープを頂いた…
ロシアでスープを頂くと思い出すことが在る。ロシア語で「スープを頂く」という場合は「食べる」と表現する。「飲む」ではない…今日は細かく刻んだ具材が豊富に入ったスープを頂いたのだが、そういうものは「飲む」よりも「食べる」の方がしっくりとする感じだ…
今日は博物館の傍を通る機会が在り、立寄った。実は昨日会ったアレクサンドルさんが“新展示”について教えてくれたのだった。彼はかの“iPhone”に一寸似たタイプの携帯電話を愛用しており、それで画を見せてくれた…私は「これはこの眼でも視ておこう!!」と心動かされた…
博物館の「心動く新展示」とは…旧帝国陸軍の95式戦車である…占守島に在った、錆鉄の塊のようになっていた戦車を持込み、丁寧に直したモノが博物館敷地の屋外に飾られたのである。
戦車の砲身は折れてしまってはいるのだが…95式戦車の全般的な形状はよく留めている…この戦車に旧帝国陸軍が戦車に施していた特徴的な迷彩塗装を確り施している。そして…砲等には“士”のマーキング!!これは、当時の占守島に配置されていたのが第11戦車連隊で、彼らは“十”と“一”を組合わせて「“士魂”の“士”!!」と部隊のマークにしていたというのだ…
実はつい最近、占守島の戦いを扱った本を読了したばかりである…95式戦車を駆って勇戦した将兵の物語も綴られていた…彼らこそは“士魂”を語るに足る“武士”(もののふ)であったと思う…
この95式戦車を眺めながら、色々な想いを巡らせていた…同時に、「“士魂”の“士”!!」という謂れのマークも含めて、忠実に95式戦車を展示用に直した博物館関係者の皆さんの努力にも敬意を表したいと思った…
今日もなかなかの好天に恵まれた一日であった…
>>Voyage : SEP 2010 (Yuzhno-Sakhalinsk and Korsakov on Sakhalin, Russia)
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