『秀吉の枷』に続いて、本作も凄い勢いで読了してしまった…と言うよりも、「停まらなくなるもの」が在る作品かもしれない…
信長の棺 上
信長の棺 下
本作の主人公は、織田信長の伝記を著したという太田牛一である。彼は信長の下で“文書・記録担当”という立場で仕事をしている人物である。
物語は“本能寺の変”の報を受け、安土城を脱出する場面から始まる。混乱の中で軟禁状態に陥り、解放されると秀吉の時代になっていた。やがて彼は秀吉の下で少し働き、隠居の身となる…
本作の大半は、その隠居の牛一が「信長の謎」を追い求めることに費やされている。牛一は、後世に己の文筆家としての名と共に、彼が仕えた信長の事績や人となりを伝えようと伝記を綴ることを考えるのだが、彼が知らない信長の極若い頃のことが判らない他、本能寺から消えた遺体が何処に在るのか判らず、牛一はそれを調べようと努力する…
彼は「信長の伝記」という著述作業を通じ「歴史を綴ることの意味」を深く考えるようになる。本書の中盤辺りはそういうことにも紙幅が割かれているように思う。なかなか考えさせられるものがある…
後半から終盤は「遺体の行方」である…彼自身が知る、“本能寺の変”直前に信長が意図していた行動を明かすのと引き換えに、遺体の始末に関して承知している元僧侶と漸く話し合い、それを知ることになる…未読の方の愉しみを妨げたくないので、ここでは言及しないことにするが…
本作を読んで感じたのだが、“牛一”が何となく作者自身と重なるということである。“牛一”はとりあえず一線を退いた立場で、自らの関心を追求している。作者も、色々と他の分野で活躍した経過を経て、やや高齢になってから本作を発表している…そういう辺りで、何か妙に惹かれるものが在った。
作品は非常に手が込んでいる…多くの謎を残す信長の物語を、「物語を綴る人」の目線で綴るという方式…斬新かもしれない…
結局「1→2→3」という型で世に問われた作品を「3→2→1」の順で読了してしまったのだが、何れも完成度が高い作品で、“時系列”の順でもないので、そういうやり方も可であろう…
非常に面白かったので<ブック/加藤廣作品>というカテゴリも設けておいた…多くの皆さんに、彼の力作に出会って頂きたい…
この記事へのコメント
玄柊
ところで、サハリン滞在中の息子、今日フェリーで帰国します。
ホームステイ先はもちろん、さまざまな交流があり、日本総領事館も訪問、私の友人のサハリン州立大学の女性研究者ともお会いできたようです。
私も、再度訪問の機会が訪れそうです。
OKIのサハリンロックを注文しました。感想はいずれ・・・。
DJ Charlie
今日はサハリン・コルサコフ港からのフェリーが稚内港に着く日でした…息子さんが戻られたら、色々と様子を聴くのが愉しみですね。
『サハリン ロック』!!注文されたのですか?是非、愉しんでみてください!!