過日の旅行の前に紐解き始め、戻ってから間もなく読了した一冊が下記である…
くろふね
主人公は中島三郎助という幕臣である。この人物は、箱館の戦いで討死してしまっているが、当時の人物としては非常に興味深い経歴を辿っている…“異国船打払”を実践していて、“黒船来航”で米国人の応接に携わり、また“海軍創設・整備”で蒸気船の運航や造船を学んで実践している…最後はかの開陽丸に乗り組んで、開陽丸が江差で座礁沈没の後は地上戦に身を投じている…
この人物程に「時代の波の中を駆けた」という人物も居ないかもしれない…よく発掘してきたという感じがする…
本書の中には、当時を彩る様々な人達が登場する…榎本武揚は努力家で、大変な好人物として描かれている。勝海舟は、実はそれ程に実力は無い、“口舌の徒”的な描かれ方をしている。徳川慶喜…敬意を払い難い大将として描かれている…幕末を舞台にした様々な作品を読むと、有名な人物達が夫々の描かれ方で登場するが、それを多少頭の中で比べながら読むというのも、最近は愉しくなってきた…
タイトルの“くろふね”…意味深長な感じがした。往時は「外国船一般」が“くろふね”と称されていた様子も在るが、“くろふね”と言えば「ペリー艦隊」を特定するかのような印象も在る。主人公の三郎助はこの“くろふね”と向き合い続け、関わって行く…
こういう時代の、“新技術”と向き合った人達が活躍する物語に触れると、何時もその凄まじい努力に思いを至らす。三郎助もなかなか凄い…
何か、世の中が混迷してしまっているような状況だからこそ、こういう「混迷極まる」ような幕末を舞台にした小説に“感じるもの”が少し強烈なのかもしれない…
この記事へのコメント
玄柊
DJ Charlie
佐々木氏は、確か北海道出身で…方々で講演もされているのですね。『くろふね』が非常に面白かったので、また彼の作品を目に留めたら読んでみたいです。