連載:Sakhalin (OCT 2009)― お惣菜…

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稚内からコルサコフへ向かうフェリーの中で、ロシア人の父娘を見掛けた。

ガッシリした体躯の若いお父さんと、小学校低学年位の年頃と見受けられるブロンドの小さな娘さんだった…お父さんが一寸立ち歩けば、「パパ!!」と元気な声がして、小さな娘さんが駆け寄って来るという様子を何度となく見掛けた。お父さんが甲板で外を眺めているところに、上着を着ないで駆けて行った場面もあったらしく、お父さんは「寒いじゃないか…」と半ば娘さんを抱えるように早足で一緒に奥に引っ込み、やがて娘さんに上着を着せてから一緒に甲板に出ていた…というような様子も見受けられた…

あのフェリーには“食堂”が無い…5時間30分の航海…朝、昼、夜のどの時間帯に運航しても、1回位は食事の必要性も生じると思えるのだが…

という訳で、あのフェリーの船内では乗客に弁当が配布される…稚内・コルサコフでは、利尻・礼文へ向かうフェリーのターミナル内に在るレストランで手掛けているらしい、なかなか感じの良い弁当が出る。コルサコフ・稚内…稚内で積み込むのだと思うが、パンとほんの少しの“つまみ”という、軽食、おやつ的な内容だ…

稚内からコルサコフへ向かうフェリーの中で見掛けた父娘の娘さんの方が、その弁当を大切そうに抱えてチョロチョロとしている。「何処か場所を見付けて、パパと一緒に食べるのだろう…」と観ていると、その小さな娘さんが船内売店の脇に進んだ。船内売店脇には電子レンジとお湯の電気ポットが備えられている。売店で、カップ麺やレンジで温める方式の食糧を些か売っているからなのだが…娘さんは、大切そうに抱えていた弁当を電子レンジに入れた。そしてダイヤルを回し、弁当を温め始めた。少しして慎重にレンジから弁当を出し、手で触って首を傾げ、もう一度レンジに入れて弁当を温める…やがて娘さんは弁当を出して「パパ!!」と小走りに去って行った。去って行った先で、何やら「これでいいの?」みたいなことを言っている彼女の声がした…この小さな娘さんは、お父さんの弁当を温めていた訳だ…

微笑ましい父娘連れだったが、私は「小さな女の子が電子レンジを普通に使った」ということに驚いた。1993年、1994年頃、モスクワとサンクトペテルブルグで普通の家庭に何度か御邪魔したことが在ったのだが、あの頃に電子レンジを見掛けた記憶は無い…意外に立派なオーブンが据えられていた台所は見た記憶が在るのだが…それだけ、電子レンジが一般化したということなのだろう…考えてみれば、1990年代前半頃から家電の輸出、或いはロシア人が近隣諸国等に出掛けて購入というケースは増えているのである。私が見掛けた小さな娘さん…多分2000年前後…もしかすると2003年位か?そういう時期に生まれている年頃だ。物心付いた頃には、家の台所に電子レンジは在った筈だ…

往路の船で、そういうようなつまらないことを考えていたのだったが、「電子レンジが普及した事情の一部」らしいものをユジノサハリンスクで見掛けることとなった…

10月21日…実質的なユジノサハリンスクでの1日目であった…用事を済ませ、夕刻の宿泊先から近所に出た。「何処かで食事でも…」という考えであったのだが、近所のスーパーの前で足を止めた。

近所のスーパーは“24時間営業”を謳う店で、食料品関係を中心にした品揃えであるらしい。硝子張りになっている正面から店内の一部が窺えたのだが…そこに日本で言う“デパ地下”風な“お惣菜コーナー”が在ったのだ。店員が客の注文を受け、備えてある料理を容器に入れ、ラップで包み、値段シールを貼り付けて、会計は他のものと合わせてレジで…というスタイルに見受けられた。1分程度、さりげなく見ていて、周囲に「不審な男…」とでも思われるのも困るので、「さりげなく一服…」という雰囲気で煙草を点け、更に少し様子を硝子越しに見ていた。肉類が硝子に近い辺りに見え、少し奥にサラダか何かのようなものなど、随分種類が豊富だ…

24h.jpg

3分位見ていただろうか…「何処かで食事…」という考えを却下し、「お惣菜を買込んで、宿泊先で頂く…」ということにした…吸殻を店の前の屑篭に捨て、店に入った…

スーパーのお惣菜コーナー…中で見ていると、目移りがする位に色々と「これは美味いかもしれない…」という物が在った…

私が眼を留めたのは“プロフ”という代物である。これは肉が入った炒め飯で、トマトソース等で味を添える…“チキンライス”的な、或いは“チャーハン”的なものである。通常、こういうものは「料理の付け合せ」として用いられる。ロシアでは、これを「皿に沢山盛って、ガツガツと頂くというもの」とは考えられていないようだが、私はそういうことが好きだったりする…

この店に在った“プロフ”は、小さな塊のポークを使ったもので、若干のガーリック風味も添えられたものであったようだ…

なかなか客が切れず、店員にお願いするのを少々待つ…その間に“プロフ”を見ると「100グラムで56ルーブル」というような値札が在った…「“御飯一合”が200グラム弱か?」などと思案していると、店員が「はい、どうぞ…」と私に促す…私は眼に留めた“プロフ”を指し示しながら、「“プロフ”を200グラム…」と言った。店員は容器にそれを適当に入れ、秤で計ってラップで包んでから、キーを押すと出て来る値段シールをそれに貼った。品物を差し出しながら「これだけ?」と他の注文は無いことを確認する。私は「どうも…」とそこを立ち去る…

このお惣菜の他に幾分の食糧や飲み物の買い物をした。そして、“プロフ”のために、ピクニック等に使うプラスチックのフォークも求めた。沢山入って14ルーブルだった…(余したフォークは稚内まで持ち帰ってきたが…)

plof.jpg

求めた“プロフ”…味は大変良いと思ったのだが、やや冷めている…ここで、フェリーで見掛けた父娘を思い出したのである。「お惣菜は家で電子レンジを使って温める訳だ!!」と思い至ったのだった。ユジノサハリンスクの家庭でも、こういうお惣菜を求めて、温めて頂くというようなことをしているのであろう…

10月22日…劇場に出掛けた後だったが、何処かに寄って食事を愉しむとかなり遅くなってしまうので、またお惣菜の“プロフ”を求め、宿泊先の部屋で夜食ということにした…

という訳で2回もお惣菜コーナーのお世話になったが、店員が注文を聴く場面での2つの違った言い方に出くわした…

その1
Говорите. (ガヴァリーチェ)
直訳すれば「(あなた)言ってください」である。命令形だ。
最初の日、次々と客が切れない中で、何か「はい、お次!!どうぞ!!」というようなムードの中で聴いた表現である。

その2
Слушаю. (スルーシャユ)
直訳すれば「(私は)聴きます」である。
2日目は、時間がやや遅く、客が少なかった中である。「いらっしゃいませ。どうぞ…」的に聞こえる…
よく“教科書”に在る「お買い物の場面」で見掛けるのはこちらだ…

ついでに…「これだけ?」と注文完了を確認する表現は…

Всё? (フショー)
訊ねる場合は語尾がやや上がって聞こえる。
「全部だ」と言い切る場合は“?”が“.”に変わるだけだが、語尾は上がらない。
「これだけ?」と注文完了を確認する問いを投げかけられれば、上述のように「全部だ」と言い切る他、黙って頷けば用事は済む…

ということで、“おまけ”なロシア語の話しも綴ったが、今回利用したお惣菜は存外気に入った…サハリンでは、男性も女性も、仕事をする人はバリバリと活躍している。何かの役職に就いている方で、女性も意外に多い。そうなれば、こういうお惣菜のようなものは、意外に好評を博すのかもしれない…そんなことも思った…

どうでもいいが…“プロフ”が美味かったので、早くも「また頂きたい…」と気になってきた…

wrriten_by_Charlie_at_Wakkanai.jpg
(Charlie at Wakkanai)

→今回のサハリンの写真はこちら…

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この記事へのコメント

  • モカ

    プロフのお話、面白いですね。
    ロシアにもお惣菜コーナーがあり、電子レンジも普及しつつあるんですね。
    船での親子は、様子が想像できます。
    心に残るお話です。
    2009年10月26日 06:33
  • DJ Charlie

    モカさん、あのスーパーのお惣菜はなかなか良い感じでした。そして、それが親子連れと結びついたので纏めてみました。お楽しみ頂けたようで善かったです。
    2009年10月26日 07:00
  • 玄柊

    フェリー内のエピソード、お惣菜のことといい、自分が夏にそこへ行ったという経験が、ものすごく臨場感を増しています。
    それは、店員の使うロシア語にも言えます。ロシア語を初めて一カ月、まだまだ、ですが次回は「フショー?」答えられるでしょうか。楽しみです。
    2009年10月26日 12:58
  • DJ Charlie

    玄柊さん、フェリーの様子は、乗船経験が在る方には非常に伝わると思います。最近の船内は「日本的内装ながらも、周囲の人はロシア人ばかり」で、“家族連れ”となればロシアの方ばかりですから…
    ところでロシア語…あっという間に1ヶ月ですね!!
    2009年10月28日 19:21