『深海の使者』―戦時下に日欧間を結んだ知られざる冒険…

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村

日独伊三国同盟”というのが在った…この同盟と、それ以外の国々が第二次大戦を戦った訳だ…

同盟の日独伊…“独伊”は欧州の国々で、互いの往来には色々な手段も在ろう…しかし日本は欧州から遠い…戦火の下、日本と欧州を結ぶにはどうしたのだろうか?

↓そういう疑問に答えてくれる一冊を見付けた。



深海の使者 (文春文庫)


↑最近、少々傾倒している吉村昭氏作品である。

第二次大戦位の時代、日欧間の人や物の移動手段としては…シベリア鉄道、何度か補給をしながらの海路、何度も補給で着陸しながらの空路ということになる。シベリア鉄道に関しては、“独ソ戦”という情勢で、日本が利用することは憚られた…空路に関しては、当時の飛行機の航続距離の問題でなかなか難しく、戦争を巡る状況で通過可能な空域にも制限がある。船舶だが、英国と敵対しているため、スエズ運河が利用出来ない…また、空から海からの哨戒が厳しく「敵の船」となれば容赦なく攻撃を受ける…

というように、日独伊の同盟とは言っても、日欧間の往来が困難であったため、同盟国間での協力というようなことがし難かった…それでも、技術情報のやり取り、貴重な物資の交換など、連絡は取りたかった…

連絡を取ろうにも、考え得る手段が「悉く支障の在る」状況だった。ここで登場するのが“潜水艦”である。東南アジアの日本占領下の港からインド洋に出て、洋上で支援船から補給を受け、アフリカ喜望峰の遥か沖を廻り、大西洋北上してフランスドイツ占領下の港を目指すのである…

当時の潜水艦は「機構上の制約」で、常時潜って居られる訳ではない。洋上を航行し、必要な場面で潜航する仕組みである。日本の潜水艦は、洋上では20ノット程度で航行出来たらしいが、それは“経済速度”ではない。“経済速度”はもっと遅い。海中を潜航する場合は、最大でも10ノット程度だったという。日欧間の航海だが、片道でも概ね3ヶ月から4ヶ月を要する、非常に過酷なものであったという。そして、敵勢力下での哨戒・攻撃というのが過酷さに輪を掛ける…

本書では、その「日欧間の潜水艦による往来」という過酷な任務に関して取上げている。何度も試みられ、各々が厳しい運命を辿っている…

更に、「潜水艦しかない?」という事情の下で何例か試みられた“空路”という話題も在る…

吉村作品の、淡々としながらも熱いタッチで、過酷な任務に挑んだ関係者の姿が生き生きと浮かび上がる…“軍事機密”に類する技術情報を抱えての過酷な航海に関して、それ程広く知られていた訳でもないようだが、そういう知られざる歴史に光が当てられる…なかなか「入り込んで」しまう一冊だ…

wrriten_by_Charlie_at_Wakkanai.jpg
(Charlie at Wakkanai)

↓DELLのミニノートで更新中…
Dell-個人のお客様ページ
デル株式会社

全国ラーメン人気ランキング


薄型ミニPC&イーモバイル

特別価格100円


宿探しなら「JTB旅館・ホテル予約」


芋焼酎 伊佐錦 1800ml

この記事へのコメント

  • ライカ

    こんばんは。
    Charlieさんが吉村昭氏の本を紹介されているのを
    拝見してコメントしました。
    私も好きで特にこの「深海の使者」は何回も読み直ししている本で名著だと思います。
    史実に基づき緻密な取材をされた文章はとても引き込まれてしまいます。今だに捨てられず手元にあります。
    これに影響されて海外の「Uボート」も分厚い原作本も読みました。特に映画の「Uボート」は今でもマイベスト3に入る素晴らしい映画です。何度観ても飽きる事なく感動します。
    戦争映画にして戦闘シーンは少なく、それでいて戦争はなんと愚かな行為であるかということを乗員の感情で見事に描き出している秀作だと思います。これはドイツ映画ですが「深海の使者」の原作に重ねるとまさに日本の潜水艦事情もこのような過酷な状況であったであろう事が想像出来ます。
    おっしゃる通り、知られざる歴史に光が当てられたもっと
    表に出ても良い本ですね。

    2020年05月14日 21:47
  • Charlie

    >ライカさん
    こんばんは!
    古い記事を眼に留めて御覧頂きありがとうございました。更にコメントもありがとうございます。
    何時の頃からか、色々な形で読んだ本に関して纏めて綴るようになっていて、今でも続けています。
    吉村昭作品に関しては、「作中で扱われている時代の空気感の中に入り込んで、作中人物達の脇で一緒に動き回っている?」というような、独特で濃厚な雰囲気が滲み出る作品が多く、色々と読みました。
    ↓お気付きかもしれませんが、読了した吉村昭作品について綴った記事は下記のカテゴリに纏めています。
    http://planeta097.seesaa.net/category/25581506-1.html
    本作は「第2次大戦期の潜水艦」という「非常に過酷な環境」での、「艦の性能や乗員の能力の限度?」を超えるかのような任務を遂行しようという物語で、「知られざる壮絶な挿話」という感だと思います。
    “西ドイツ”の時代の映画『Uボート』は私も好きです。あの作品は、テレビシリーズが制作されて、そこから映画になってヒットしたという経過を辿っているとも聞きます。
    「潜水艦の戦い」というような事柄に題材を求めた本作のような物語は、もう少し広く知られるべきであると私は今でも思っています。
    こうやってコメントも頂いて、読んで好かったという一冊の紹介を積み上げるというのも意味が深いと思いました。ありがとうございます。
    2020年05月15日 18:00